「その飲み方、だいじょうぶ? ~アルコール問題を考える~」

・講 師:垣渕洋一氏(成増厚生病院副院長・東京アルコール医療総合センター長)
・進 行:大久保朱夏(JFJ幹事)
・会 場:日比谷図書文化館(千代田区日比谷公園1-4)
・参加者:32名
・文 責:大久保朱夏

日本で2008年に80万人だったアルコール依存症は、2013年には109万人に増えている。
にもかかわらず、アルコール依存症の病名で受療している人は8万人に過ぎない。精神科の領域でも、トリートメントギャップ(本来治療が必要なのに、治療を受けていない状態)があるのが、アルコール問題の大きな特徴だ。
アルコール依存症になる手前、ハイリスク飲酒をしている人は、飲酒習慣のある人の8人に1人。依存症と大酒飲みのグレーゾンは広いが、不適切な飲酒によって起こる問題が複数起こり、量や時間の制御がきかなくなると依存症に陥る。
アルコール依存症になる人は、相当の逆境をサバイバルしてきた人が多いという。逆境にいる人が一生懸命、生き抜く方法を探しているうちに、アルコールと幸せすぎる出会いをしてしまうというのが依存症になる始まり。お酒があったから逆境の中を生き延びられることができたともいえる。垣渕先生は、その根っこには、他人も自分も信頼できない「信頼障害」があると考えていると強調した。この見解が新鮮であった。

以前は、依存症の診断基準を満たす人は、二度と無害な酒好きに戻れないと考えられてきたが、最近、飲酒問題をスペクトラム(連続体)で評価するという考え方に変わってきた。それを体系化したSBIRTS(エスバーツ)について丁寧に解説いただいた。
「お酒は飲めば飲むだけリスクが上がるもの」と、前置きした上で、ローリスクの酒量は1日平均アルコール量20g(日本酒1合またはビール500ml)と目安を示した。ただし、女性はこの半分、高齢者や酒を飲んで顔が赤くなる人はもっと少ない。
質問も活発に出て、アルコール問題について知識を深め、お酒との付き合い方を見つめ直す機会になった。2日連続して飲まない日を増やしていこうと思う。
詳しくは、ダイジェスト版のスライドをご参照いただきたい。

「その飲み方、だいじょうぶ?」(報告用スライド)

掲載報告
そのお酒の飲み方、大丈夫? 私は危なかった
朝日新聞デジタル6月1日 大村美香氏

「適量の酒」ってどれくらい?
ヤフーニュース5月27日  佐藤達夫氏

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