「料理」とは何か ~料理研究家とその時代~ の報告

・講 師:阿古真理(作家・生活史研究家)
・日 時:2015年9月28日(月) 18:30~20:00
・会 場:東京ウィメンズプラザ第一会議室
・参加者:22名  
・まとめ:小山伸二

■勉強会の狙い

「『料理』とは何か」を、日本の「食」を作家・生活史研究家の視点で描いて来た阿古氏にお話いただき、日本の家庭料理の現状と将来について考えました。

■お話の内容(当日のレジュメを基に)

まず第1パートは、「私の仕事」と題して阿古氏の作家としてのお仕事について、とくに「生活史研究家」と名乗ることになるまでの経緯をお話いただきました。
1.「生活史研究家」を名乗るまで
2.『小林カツ代と栗原はるみ 料理研究家とその時代』誕生秘話
3.同時並行で進めた『「和食」って何?』で発見したこと

第2パートで「料理論」と題し、家庭における「料理」を戦後の生活史研究からの視点で多角的にお話いただきました。

4.なぜ家庭料理は面倒なのか
産業化社会の必然/女性の地位/「聡明な女」と料理/外食・中食との関係

5.なぜ料理は難しいのか
修業時代の消滅/基礎を学べる場が少ない/情報過多である/求めるレベルが高過ぎる
6.つくることがなぜ必要なのか
生きる技術である/心身の健康維持のため/人間関係の潤滑油/自立・主体性を養う

7.料理とは何か
最後に、料理を「作る」ことの重要性を、義務としてではなく、作ること自体が「権利」であるという観点でお話を締めくくられたのが印象的でした。

以上、お話のあとでの質疑応答も活発で、特に家庭料理の重要性、料理をし、ともに食べる文化の重要性を伝える食のジャーナリズムに求められるものは大きいということを参加者それぞれで、共有できた勉強会でした。

■阿古真理氏の著作

単著
『小林カツ代と栗原はるみ 料理研究家とその時代』(新潮新書・2015年)
『「和食」って何?』(ちくまプリマー新書・2015年)
『昭和育ちのおいしい記憶』(筑摩書房・2014年)
『昭和の洋食 平成のカフェ飯 家庭料理の80年』(筑摩書房・2013年)
『自由が丘スイーツ物語』(NTT出版・2011年)
『うちのご飯の60年 祖母・母・娘の食卓』(筑摩書房・2009年)
『ルポ「まる子世代」』(集英社新書・2004年)

共著
『ひんやりと、甘味』(河出書房新社・2015年)
『なんたってドーナツ』(早川茉莉編・ちくま文庫・2014年)
『女子教育、再考』(冬弓舎・2006年)

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