2021年6月30日 2021年度第2回勉強会の報告

「牛乳」の事例を通して『 食の疑似科学を考える 』

・講 師:山本輝太郎氏
   (明治大学科学コミュニケーション研究所 研究員 明治大学情報コミュニケーション学部兼任講師)
・進 行:監物南美(食生活ジャーナリストの会・幹事)
・参加者:オンライン開催 73名
・文 責:監物南美
**************

 一般の週刊誌やネット媒体等を中心に、特定の食品について根拠の曖昧な食の有害情報や効能情報がくり返し見られ、情報の真偽を検証するようなメディアリテラシーや自ら科学的に判断するためのサイエンスリテラシーの向上が求められている。そこで、情報コミュニケーション学がご専門の山本輝太郎氏を講師にお招きし、一般社団法人Jミルクとの共催で勉強会を開催した。講演の前に、Jミルクから、2021年4月から5月にかけての牛乳に関する批判的な報道とその影響の紹介があり、山本氏には「牛乳」を事例として解説していただいた。

【講演要旨】
 「食の疑似科学」というが、じつは科学と擬似科学との境界線は、1本の線で引けるものではない。しかし、その評定は山本氏らのとり組みによってこの数年で可能になってきたという。

1)4つの観点の10条件による科学性判定の取り組み
 山本氏らは科学哲学や科学社会学の知見に基づき枠組みを設定し、4観点10条件による科学や擬似科学の段階を判定するしくみを作った(スライド1)。これまでの牛乳有害説をこの4観点10条件にあてはめてみたところ、理論の観点もデータの観点も全体的に科学性が認められず、「牛乳は有害であると言うことは擬似科学だ」と評定できたという。

2)研究デザインに基づく「エビデンスの信用度判定」
 4観点のうち、データの観点は、研究デザインに基づくエビデンスレベルで信用度がある程度判定できる。山本氏は、スライド2 の各エビデンスレベルの利点と欠点を解説したうえで、牛乳有害説を支持するデータが、エビデンスレベルの低い根拠の弱いものが多いことを紹介した。一方で、支持しないデータはエビデンスレベルの高いものが多かったという。

3)心の偏りに注意 「先入観」は評価を変える
 科学リテラシーの向上というときにもう一つ忘れてはならないのが、「ヒトの心」による影響である。まず、先入観が評価に影響を与えるが、その事例としては、ゲノム編集をとり上げた。ゲノム編集について教育をするとき、遺伝子組換えに対して持っている先入観が、ゲノム編集の学習に影響するかどうかを山本氏がRCTで調べたところ、影響することがわかったという。また、スライド3左のように「遺伝子組換え技術と同じ」と印象づける教材と、スライド3右のように「遺伝子組換え技術と異なる」と印象づける教材を用意し、ゲノム編集のリスクとベネフィットについて学習してもらったところ、遺伝子組換えに否定的なイメージを持っている人は、後者の教材を使った場合にのみ、学習効果が見られたという。


 そのほか、架空のサプリメントの広告を用いて、カクテルパーティ効果についての紹介があった。人は自分ごととして興味がなければニセ情報を信じやすいことがこれまでの研究からわかっており、「真実バイアス」という言葉もある。人の判断のベースにあるのは感情であり、科学的データに感情が入り込みうるものは、取り扱い注意ということだ。

***

 研究者も千差万別であり、科学者が擬似科学を言い出すこともある。しかし、4観点10条件にあてはめて科学的根拠の強弱を推し量り、心の偏りに注意することで、疑似科学情報はある程度区別が可能になる。

2021年9月13日 2021年度西日本支部第2回勉強会のお知らせ

会員限定:人と自然の健康を結ぶ「窒素」

~賢明な窒素利用は「持続可能で豊かな食」の礎~

このコンテンツはパスワードで保護されています。閲覧するには以下にパスワードを入力してください。

このコンテンツはパスワードで保護されています。閲覧するには以下にパスワードを入力してください。

2021年5月27日 2021年度第1回勉強会の報告

「除草剤グリホサートは安全なのか危険なのか」

・演 題:除草剤グリホサートは安全なのか危険なのか」
・講 師:吉田緑・内閣府食品安全委員会委員
・進 行:小島正美(食生活ジャーナリストの会・前代表幹事)
・参加者:オンライン開催 82名
・文 責:小島正美
**************

【講演要旨】  世界中で使用されている除草剤のグリホサートは、その発がん性をめぐって、米国で訴訟が起きるなど大きな関心を集めている。グリホサートは2015年、国際がん研究機関(IARC)によって「グループ2A」(ヒトに対しておそらく発がん性あり)と分類されたが、JMPR((国連食料農業機関・世界保健機関合同残留農薬専門家会議)、EU(欧州連合)や米国、日本など先進国の政府は「発がん性なし」との評価を行っている。この違いをどう考えればよいのだろうか。いまなお一部のメディアでがんや自閉症などの原因の可能性があると時々報じられることから、吉田緑さんを招き、セミナーを行った。  講演のポイントは3つある。一つ目は、IARCの目的はハザード(有害な影響を起こすもの)を評価することであり、リスク(有害な影響が起きる確率とその強さ、具体的には有害影響が起きない量と摂取量の比較)を評価しているわけではないことだ。IARCが、がんの疫学研究で限定的な証拠があるとしたのは農業従事者であり、食品を介した消費者のことではない。つまり、食品を介した発がん性のリスクはないということだ。 二つ目は、IARCが採用した動物実験などのデータは学術誌などに公開されたデータだけだが、リスク評価で「発がん性はない」としたEFSA(欧州食品安全機関)や日本の食品安全委員会、JMPRはより質が高く、広範囲のデータ(GLP適合やOECDガイドライン準拠試験)を使って評価したということだ。つまり、生データの適切な管理や分析結果の精緻な解析、第三者による保証などの観点から見て、質の高いデータを使って評価したのはEFSAや日本の食品安全委員会のほうだということだ。 三つ目は、厚生労働省の報告によると、日本人が食事から摂取しているグリホサートの量は、使用した全ての食品に残留基準値(食品中に含まれることが許される限度値)まで残留すると仮定した過大な摂取量(理論最大1日摂取量)で見積もっても、長期摂取しても有害影響を起こさない指標値である許容1日摂取量(ADI)よりはるかに低いことだ。 具体的にADIと比べた数値は、一般の成人(7.1%)、乳幼児(17%)、妊婦(7.4%)、高齢者(6.7%)と、どの層もADIより低い値だった。ADIは毎日、生涯にわたり摂取し続けても影響のない量なので、それ以下なら、グリホサートによる健康への悪影響はないと見るのが科学的な結論になるという。 セミナーは定員いっぱいの参加者が集まり、関心の高さをうかがわせた。事前に参加者から寄せられた質問にも答える形での講演だったため、中身はとても充実していた。

**************

<除草剤グリホサートは安全なのか危険なのか:講演資料(PDF)>

<JFJ 2021年度第1回勉強会アンケート>

2021年7月20日 2021年度第3回勉強会のお知らせ

「培養肉の開発はどこまで進んでいるか?」

特定の細胞を培養して人工肉をつくる「培養肉」が世界中で注目を集めています。「培養肉」が普及すれば、家畜が食べる飼料(食料)や水が不要になるだけでなく、動物を殺すこともなくなります。家畜の排せつ物の処理も不要になるため、地球環境への負荷が大きく減ります。現在の工業的家畜生産のあり様を大きく変貌させると予想される培養肉は今後、どうなっていくのでしょうか。培養肉の研究開発で日本の最先端を走るベンチャー企業「インテグリカルチャー」を共同創業した取締役CTOの川島一公氏を招き、培養肉開発の最前線を聞きます。培養肉の作り方、培養肉ハンバーガーは現在いくらで製造できるのか、他国と比べて日本の研究開発はどういう状況なのか、培養肉のような細胞農業は日本で産業として育つのか、など興味ある話をたっぷりと聞くセミナーです。ぜひご参加ください。


《開催概要》———————————————————

テーマ
「培養肉の開発はどこまで進んでいるか?」
日 時
2021年7月20日(火)19時~20時30分(18時30より開場)
場 所
オンラインのみ(Zoom)
*東京都の緊急事態宣言発出によりオンライン開催のみとなりました。
講 師
川島一公氏(インテグリカルチャーCTO)
司会進行
大森亜紀(食生活ジャーナリストの会 幹事)
参加費/申込
JFJ会員・学生:無料 ➡ 定員に達したので申込を締切ました
非会員(オンライン:ZOOM) 1,000円 ➡ 定員に達したので申込を締切ました
定 員
80人(@オンライン:ZOOM)
お知らせ
*お申込み完了後、 開催当日までに申込登録されたメールアドレスあてに
 オンライン放送のURLをお送りします。
 開催時刻前に届かない場合は、JFJ事務局にメールでお問い合わせください。
 なお、必ずJFJ事務局のメールアドレス(info@jfj-net.com)を「連絡先」等に
 ご登録ください(弊会からのメールが拒絶される場合があります)。
*事前参加登録いただいた皆様には、後日YouTube動画を限定配信いたします。
(不具合で視聴できなかった方、急遽欠席になった場合も御覧いただけます)

 

お問い合わせ
JFJ事務局
携帯:090-5002-6961
FAX:0467-95-9354
info@jfj-net.com

このコンテンツはパスワードで保護されています。閲覧するには以下にパスワードを入力してください。

2021年6月30日 2021年度第2回勉強会のお知らせ

「牛乳」の事例を通して『 食の疑似科学を考える 』

この度、2021年6月30日(水)19時より一般社団法人Jミルク様との共催により第2回勉強会(オンライン)を開催したします。
テーマは「牛乳」の事例を通して『食の疑似科学を考える』です。

【講演要旨】
一般の週刊誌やネット媒体等を中心に、特定の食品について「●●は体に悪い」、「●●を食べると病気になる」など消費者を混乱させる根拠のない食の有害情報がくり返し見られます。一方で、「○○は体に良い」、「○○を食べると病気予防できる」などの情報も発信されており、こうした情報の真偽を調査検証するようなメディアリテラシーや自ら科学的に判断するためのサイエンスリテラシーの向上が求められています。前者でくり返しターゲットとされるものの一つが「牛乳」です。そこで、今回は牛乳を事例として、情報コミュニケーション学がご専門の山本輝太郎先生(明治大学研究・知財戦略機構)に、疑似科学を科学的に解説していただきます。ご講演後は、疑似科学情報を読み解くためのリテラシーの高め方、ならびに科学的根拠に基づいた健康情報の発信のあり方についてJFJ会員で議論します。


《開催概要》———————————————————

テーマ
「牛乳」の事例を通して『 食の疑似科学を考える 』
共 催
一般社団法人Jミルク・食生活ジャーナリストの会
日 時
2021年6月30日(水)19:00~20:30(18時50分よりZoom入室開始)
開催方法
オンラインのみ(Zoom)
*開催2日前を目安に参加申込者あてにZoom会議IDを配信予定です。
講 師
山本 輝太郎 氏(博士 情報コミュニケーション学)
明治大学科学コミュニケーション研究所 研究員 明治大学兼任講師
専門:人文・社会 / 科学教育 / 科学リテラシー
<研究業績(受賞歴)>
「牛乳有害説に対する消費者向け科学リテラシー教材の開発」(乳の学術連合 「食と教育」学術研究 最優秀賞)、「教材利用者が有する先入観が科学教育に与える影響~ゲノム編集を例にして」(日本科学教育学会 奨励賞)、「疑似科学的言説に対する科学リテラシー向上を目的としたオンラインプラットフォームの開発」(日本科学教育学会 年会発表賞)、「介入実験ツールとしてのクラウドソーシングの有効性~ランダム化比較対照試験による情報リテラシー教材の効果検証を事例として」(情報コミュニケーション学会 研究奨励賞)など。
作品等:疑似科学を科学的に考える:https://gijika.com/
参加費/申込
JFJ会員・学生:無料申込フォーム
非会員(オンライン:ZOOM) 1,000円Peatixにて参加費を徴収
◆非会員の方でPeatix以外のお申込みをご希望の場合はコチラから
定 員
80人(@オンライン:ZOOM)
お知らせ
*お申込み完了後、 開催当日までに申込登録されたメールアドレスあてに
 オンライン放送のURLをお送りします。
 開催時刻前に届かない場合は、JFJ事務局にメールでお問い合わせください。
 なお、必ずJFJ事務局のメールアドレス(info@jfj-net.com)を「連絡先」等に
 ご登録ください(弊会からのメールが拒絶される場合があります)。
*事前参加登録いただいた皆様には、後日YouTube動画を限定配信いたします。
(不具合で視聴できなかった方、急遽欠席になった場合も御覧いただけます)
お問い合わせ
JFJ事務局
携帯:090-5002-6961
FAX:0467-95-9354
info@jfj-net.com

2021年7月8日 2021年度西日本支部第1回勉強会のお知らせ

『料理と利他』土井善晴・中島岳志によるzoom対談から出版まで

西日本支部の勉強会の第1回として、ユニークかつ力強い出版活動で知られるミシマ社代表の三島邦弘さんを講師に招き、土井善晴・中島岳志さん共著の『料理と利他』の出版についてお話をお伺いします。 センセーショナルなタイトルをまとった『料理と利他』は、昨年12月15日に発行しましたが、発売半年で6刷の大ヒットを記録し、今なお話題沸騰中です。
https://mishimasha.com/books/ryoritorita.html
ミシマ社は新型コロナウイルス感染拡大下の20年5月に、オンライン配信イベント「MSLive!」を開始。その第一弾の単行本が『料理と利他』にほかなりません。 今回、三島邦弘さんには、「一汁一菜」を掲げる料理研究家の土井善晴さんと、東京工業大「未来の人類研究センター」にて「利他プロジェクト」に取り組む政治学者の中島岳志さんという異色の組み合わせによる企画の発想から、zoom対談の実際、編集、発売そして反響まで、編集担当の当事者であるスタンスから大いに語っていただきます。 今回も、完全リモート開催で、お送りします。参加者には、後日、限定動画配信も予定しております。

【講師プロフィール】三島邦弘(みしま・くにひろ)
1975 年京都生まれ。出版社2社で単行本の編集をした後、2006年10月東京・自由が丘にミシマ社を単身設立。以来、「ちいさな総合出版社」として活動中。 2011年より、京都にもオフィスを開設し、現在は自身の拠点も京都に置く。2015年に雑誌「ちゃぶ台」を創刊、2019年に書店買切り・少部数レーベル「ちいさいミシマ社」を立ち上げるなど、出版界にまだまだ潜む「おもしろい」可能性を探り、実践しつづける。コロナ下の昨年からは、オンライン・出版ライブ(MSLive!)を開始。 著書に『パルプ・ノンフィクション〜出版社つぶれるかもしれない日記』(河出書房新社)など。


《開催概要》———————————————————

テーマ
『料理と利他』土井善晴・中島岳志によるzoom対談から出版まで
日 時
2021年7月8日(木)19時~20時30分(18時30分よりZoom入室開始)
開催方法
オンラインのみ(Zoom)
講 師
三島邦弘氏(ミシマ社代表)
参加費/申込
JFJ会員・学生:無料申込フォーム
非会員(オンライン:ZOOM) 1,000円Peatixにて参加費を徴収
◆非会員の方でPeatix以外のお申込みをご希望の場合はコチラから
定 員
80人(@オンライン:ZOOM)
お知らせ
*お申込み完了後、 開催当日までに申込登録されたメールアドレスあてに
 オンライン放送のURLをお送りします。
 開催時刻前に届かない場合は、JFJ事務局にメールでお問い合わせください。
 なお、必ずJFJ事務局のメールアドレス(info@jfj-net.com)を「連絡先」等に
 ご登録ください(弊会からのメールが拒絶される場合があります)。
*事前参加登録いただいた皆様には、後日YouTube動画を限定配信いたします。
(不具合で視聴できなかった方、急遽欠席になった場合も御覧いただけます)
お問い合わせ
JFJ事務局
携帯:090-5002-6961
FAX:0467-95-9354
info@jfj-net.com

このコンテンツはパスワードで保護されています。閲覧するには以下にパスワードを入力してください。

2021年5月27日 2021年度第1回勉強会のお知らせ

「除草剤グリホサートは安全なのか危険なのか」

日本を含め世界中で使用されている除草剤「グリホサート」の使用やリスクをめぐって、主にネットで議論が盛んになっています。海外では公共的な場所での使用規制が行われるなど政治的な影響も出ています。日本国内では輸入小麦を原料にした食パンなどにグリホサートが微量ながら残留しているケースがあることに対し、子供たちの発達・成長に危険だといった記事が週刊誌に掲載されるなど、虚実入り混じった情報が流布しています。国際がん研究機関(IARC)によってグリホサートは「グループ2A」(probably=おそらく発がん性あり)に分類されていますが、これは「発がん性のあるリスク」と言えるのかどうかも含め、国際機関での評価法、ハザードとリスク評価の違い、評価するデータの質に関する考え方などを幅広く学びたいと思います。講師の吉田さんはグリホサートのリスクを評価する国際会議にも出席した経歴があり、農薬の毒性学に通じた専門家です。


《開催概要》———————————————————

テーマ
「除草剤グリホサートは安全なのか危険なのか」
日 時
5月27日(木)19時~20時30分(18時30より開場)
開催方法
オンラインのみ(Zoom)
講 師
吉田 緑
(2015年から内閣府食品安全委員会委員、
 動物用医薬品や農薬など化学物質に関する毒性病理学の専門家)
司会進行
小島 正美(食生活ジャーナリストの会)
参加費/申込
JFJ会員・学生:無料申込フォーム
非会員(オンライン:ZOOM) 1,000円Peatixにて参加費を徴収
◆非会員の方でPeatix以外のお申込みをご希望の場合はコチラから
定 員
80人(@オンライン:ZOOM)

◎参加にあたってのお願い◎
できるだけ参加者の疑問にお答えしたいと思いますので、普段、グリホサートに関して知りたいと思っている事を事前に事務局へお寄せ下さい。できる限り講演の中で回答できるように工夫したいと思います。

お知らせ
*お申込み完了後、 開催当日までに申込登録されたメールアドレスあてに
 オンライン放送のURLをお送りします。
 開催時刻前に届かない場合は、JFJ事務局にメールでお問い合わせください。
 なお、必ずJFJ事務局のメールアドレス(info@jfj-net.com)を「連絡先」等に
 ご登録ください(弊会からのメールが拒絶される場合があります)。
*事前参加登録いただいた皆様には、後日YouTube動画を限定配信いたします。
(不具合で視聴できなかった方、急遽欠席になった場合も御覧いただけます)

 

お問い合わせ
JFJ事務局
携帯:090-5002-6961
FAX:0467-95-9354
info@jfj-net.com