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2021年9月22日 2021年度第4回勉強会のお知らせ

「みどりの食料システム戦略と有機農業の未来」

2021年度の第4回勉強会を9月22日にオンラインで行います。 今回は、日本の農業の行く末を決める農林水産省の戦略・構想をうかがいます。有機農業の面積100万ヘクタールやカーボンニュートラル的な農業をどうやって実現するのか、2部構成で興味深い話が聞けると思います。ぜひご参加ください。


《開催概要》———————————————————

テーマ
「みどりの食料システム戦略と有機農業の未来」
日 時
9月22日(水)19時~20時30分(18時30より開場)
開催方法
オンラインのみ(Zoom)

———————◆◆講演1(30分)◆◆———————

講 師
秋葉 一彦 氏
農林水産省大臣官房環境バイオマス政策課長
演 題
「みどりの食料システム戦略について
~食料・農林水産業の生産力の向上と持続性の両立をイノベーションで実現~」
講演要旨
農林水産省では今年5月、食料・農林水産業の生産力向上と持続性の両立をイノベーションで実現させるための新たな政策方針として「みどりの食料システム戦略」を策定し、CO2ゼロエミッションや農薬・肥料の削減等14のKPI(重要業績評価指標)を立てています。戦略の実現には、技術革新とサプライチェーン全体の各関係者の行動変容が重要であり、関係者が一体となった取組を後押しする仕組みを検討しています。

———————◆◆講演2(30分)◆◆———————

講 師
小宮 英稔 氏
農林水産省農産局農業環境対策課持続・有機農業推進チーム長
演 題
「有機農業の推進について」
講演要旨
「みどりの食料システム戦略」において、有機農業は2050年までに取組面積を100万haに拡大することを目標に掲げています。世界的に有機食品の市場が拡大傾向にある中我が国でも有機の生産、市場ともに拡大の余地があります。こうした背景を踏まえ、消費者の理解を得た市場拡大を進めつつ、生産、流通現場の諸課題を解決することで、目標の達成を目指します。

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司会進行
小島 正美(JFJ専門分科会委員)
参加費/申込
JFJ会員・学生:無料申込フォーム
非会員(オンライン:ZOOM) 1,000円Peatixにて参加費を徴収
◆非会員の方でPeatix以外のお申込みをご希望の場合はコチラから
定 員
80人(@オンライン:ZOOM)
お知らせ
*お申込み完了後、 開催当日までに申込登録されたメールアドレスあてに
 オンライン放送のURLをお送りします。
 開催時刻前に届かない場合は、JFJ事務局にメールでお問い合わせください。
 なお、必ずJFJ事務局のメールアドレス(info@jfj-net.com)を「連絡先」等に
 ご登録ください(弊会からのメールが拒絶される場合があります)。
*事前参加登録いただいた皆様には、後日YouTube動画を限定配信いたします。
(不具合で視聴できなかった方、急遽欠席になった場合も御覧いただけます)
お問い合わせ
JFJ事務局
携帯:090-5002-6961
FAX:0467-95-9354
info@jfj-net.com

2021年7月20日 2021年度第3回勉強会の報告

「培養肉の開発はどこまで進んでいるか?」

・演 題:培養肉の開発はどこまで進んでいるか?
・講 師:インテグリカルチャー・川島一公 取締役CTO/創業者
・進 行:大森亜紀(食生活ジャーナリストの会幹事・読売新聞記者)
・参加者:オンライン開催 85名
・文 責:大森亜紀

**************

 世界の人口や肉の消費量が増え、今のように家畜を育てて肉を食べ続けると、地球環境に過剰な負荷を与えることになると指摘されています。その解決策の一つとして注目されているのが「培養肉」。大豆などを使った代替肉とは違い、細胞を培養して肉を作る技術です。その最先端を走る日本企業「インテグリカルチャー」の創業者で、取締役CTOの川島一公さんに、培養肉の作り方から世界の動向、規制や課題などを幅広く話してもらいました。

【講演要旨】

■インテグリカルチャー起業と「細胞農業」
細胞を育てる独自の技術「CulNet System(カルネットシステム)」で、多様な生物資源を活かし、みんなを幸せにすることがインテグリカルチャーの目的だ。子供のころ、植物に虫が寄生すると、こぶのように膨れる「虫こぶ」を見て関心を持ち、生物や細胞を研究してきた自分と、羽生雄毅・代表取締役CEOが東京・本郷三丁目の「LAB+CAFE」で出会って2015年に共同創業した。
細胞農業とは、取り出した細胞を生体の中にいると「勘違い」させて、大きく増やす技術だ。肉だけではなく、そのほかの食品や皮革などにも活用できる。カルネットシステムとは、低コストの培養液で特定の細胞を育てて、本来なら動物や植物から収穫される産物を作る仕組みのこと。農地不要、超省資源で産物を作ることを目指している。

■戦国時代に突入した世界の「フードテック」
世界の人口増と食肉需要増に伴い、世界中で代替たんぱく質のベンチャーが大量に生まれている。投資マネーがフードテックに流れ込んでいるが、日本国内の投資額は少ない。2040年には約70兆円の肉市場のうち、35%が培養肉、25%が植物由来の代替肉、40%が家畜によるものになるという市場予測もある。培養肉の環境負荷については評価が定まっていないが、エネルギー使用量が半減し、温室ガス排出量は4%程度と試算している。

■細胞培養肉の最前線と課題
細胞の培養には、適切な栄養状態(ミネラルやアミノ酸など)を作り、血の成分(血清や成長ホルモン等)を入れることが必要だ。医療分野で細胞を培養する再生医療と細胞農業は、原料となる細胞を調達し、培養液で育てる点では重なるが、法規制や流通に差がある。
イスラエルやアメリカ、シンガポールなど様々な企業が培養肉に取り組んでいるが、培養の手法や使う成分は異なる。既存の成長ホルモンは高価で、食品添加物として認可されていないものもある。カルネットシステムは、細胞を育てる過程に臓器間で細胞同士が助け合う相互作用を取り入れ、培養液のすべての成分を食品添加物として認可されているものだけで作っている強みがある。
細胞を増やすことはできるが、その細胞を筋肉など組織の形にするには、さらにブレイクスルーが必要だ。量産化にはコスト面の課題もある。自社ブランドで2022年春にフォアグラ、25年にはステーキの製造を目標にしているが、あわせて、製造装置も販売し、作り手が味のカスタマイズをしたり、学校教育の場で使ったりしてもらうことも考えている。

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2021年7月8日 2021年度西日本支部第1回勉強会の報告

『料理と利他』土井善晴・中島岳志によるZOOM対談から出版まで

・演 題:『料理と利他』 土井善晴・中島岳志によるZOOM対談から出版まで
・講 師:三島邦弘(ミシマ社代表)
・進 行:江 弘毅
・参加者:オンライン開催59名
・文 責:江 弘毅

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2020年12月の発売から半年で6刷の大ヒットを記録した、土井善晴・中島岳志さん共著の『料理と利他』。
この書籍は、版元であるミシマ社が、新型コロナウィルス感染拡大の2020年春に立ち上げた「MSLive!」のZOOM対談からの出版化第1弾でもある。
この『料理と利他』の版元の代表であり、編集担当者である三島邦弘さんに、新型コロナウィルス感染拡大のなか、どのようにして企画立案し、ZOOM対談から書籍出版に至ったかを語っていただいた。

1)「MSLive!」について。その出版第1弾が『料理と利他』
「ちいさな総合出版社」を標榜するミシマ社は、新型コロナウィルス感染拡大が世界的深刻になった2020年5月にオンラインイベント「MSLive!」をスタートした。

「待っている人に、確かな言葉を届ける」というコンセプトの下、藤原辰史さん(京都大学人文科学研究所)の「パンデミックを生きる構え」などが好評。
このイベントは「はじめから出版を目指すもの」だった。これが単なるオンラインイベントと違う点である。
それまでも、「書籍は“著者と編集者が交わす言葉”から生まれるものである」という思いから、読者参加型の「寺子屋ミシマ社」をイベントライブで公開していた。
パンデミック下、立ち上げた「MSLive!」は、多い月には15本実施している。

2)土井善晴×中島岳志のZOOM対談と書籍コンテンツ
「一汁一菜」を提言する料理研究家の土井善晴さん、東京工業大学教授の政治学者・中島岳志さん。この異色の組み合わせは、中島岳志さんが執筆した『コロナ後の世界〜いま、この地点から考える』(筑摩書房)の「一汁一菜のコスモロジー土井善晴論」にもあるように、土井さんの料理論を中島さんのこのところのテーマである「利他」に引きつけて書いていた。
この対談の前には、中島さんが土井さんの著作から雑誌の記事、ネットのインタビューまで、すべてお読みになられていて、この対談に臨まれていた事が大きい。

3)土井×中島の「MSLive!」
全5時間の対談のZOOMの画面共有による動画再生ダイジェストをもとに、三島さんから以下の説明があった。

・対談→書籍においての編集面の工夫は、この本の表紙帯にあるように「対談を完全に再現」すること、「こんなに面白いライブをそのまま書籍にする」ことを心がけた。「勝負どころは、MSLive!をご覧にならなかった人に、MSLive!を伝える体験だ」と思った。
・本文冒頭からもわかるように(見出し「土井さんを通すと『おもしろくなる』現象」)、「そうそうそう(笑)」といった会話の言葉を省略せずに、二人の息づかいを表現してるのがその作り方を物語っている。かといって、ただ単純な「テープ起こし」ではないが。

・寄藤文平さんの装丁についての説明=水墨画においての陰影(筆の中に遠近感が含まれる)のようにデザインした。「人為的、設計主義的にではなく、筆に任せた」。

3)日常の食は民藝ではないだろうか(=結論)
動画再生において、土井さんの「高台の大きな器=何でも載せられる/小さな器=沢山載せると倒れる」の違いの説明からの「日常の家庭料理/ハレの日の食」の理解のアプローチ。

「日常の家庭料理は汎用性のある、いわば民藝の道具である」という大きな主張が「腑に落ちた」(三島さん)。
自然に添う料理→自然に添う、これは表面だけの民藝っぽく、民藝もどき、民藝的なものではない。

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講演内容は、どのようにしてMSLive!からはじまったこと、その対談からの編集的アレンジや表現のディテール、寄藤文平さんの装丁までの一連がよくわかった。
すなわち、「みんなが家でご飯を食べるようになった」コロナ下で、このお二人の料理論対談をMSLive!で立ち上げて、見事に書籍『料理と利他』にまとめた編集者・三島邦弘さんの感覚論および身体論(「この本の編集も民藝である」と気づいたとの発言)であった。

2021年9月13日 2021年度西日本支部第2回勉強会のお知らせ

人と自然の健康を結ぶ「窒素」

~賢明な窒素利用は「持続可能で豊かな食」の礎~

西日本支部の勉強会では、人の社会と自然を行き交う「窒素」に魅せられている林健太郎氏を講師として招き、窒素が我々の「食」を介して人と自然の健康を強く結びつけていることを話していただきます。

窒素はタンパク質や核酸塩基に必須の元素です。ただし、空気中に無尽蔵に存在する窒素ガス(N2)は安定で、いくら深呼吸しても血肉にはなりません。
我々はタンパク質という窒素を食べて生きています。農作物や畜産物の生産にも肥料としての窒素が必要です。現代の人類は窒素肥料を望むだけ合成できます。しかし、食料生産に投入する窒素の約8割が食料とならず、流通・加工・消費で廃棄・ロスしてしまう食品に含まれる窒素と合わせて、環境に排出されて窒素汚染をもたらしています。
その結果、地球温暖化、大気汚染、水質汚染、富栄養化といった多様な環境影響が生じ、人の健康と生態系の健全性に脅威を及ぼしています。持続可能な食の実現には、肥料としての便益を保ちつつ、人と自然への脅威を低減した窒素利用が求められます。
こうした問題意識を背景にして、林氏は、「食は人と自然の健康を繋ぐハブ」をコンセプトに、自然・社会・人文科学が協働し、メディア・企業・行政などの様々なステークホルダーと繋がり、「将来世代に持続可能な窒素利用そして豊かな食を渡す」ことを目標としたプロジェクトを立ち上げようとされています。
この機会に皆さんと一緒に、「人と自然の健康を結ぶ窒素」について、勉強したいと思います。

【講師プロフィール】林 健太郎(はやし・けんたろう)
1968年石川県生まれ。
総合地球環境学研究所 客員教授、農業・食品産業技術総合研究機構 農業環境研究部門 主席研究員。
子どもの頃より、生き物があるがままでいられることを願い、環境コンサルタントを経て自然科学分野の研究者となった。自然における窒素循環の未知の解明に始まり、窒素を通じて人と自然の健康を強く結びつける「食」を大切なキーワードとして、学際・超学際研究に取り組む。日本と世界の食文化に強い関心を持ち、出張の度にいろいろと試す。北はスバールバル諸島から南は南極大陸までを活動範囲とし、海好きでもある。また、極北の島に生まれたホッキョクギツネを主人公とした解説付き小説『薫風のトゥーレ』(幻冬舎)の著作もある。


《開催概要》———————————————————

テーマ
人と自然の健康を結ぶ「窒素」
~賢明な窒素利用は「持続可能で豊かな食」の礎~
日 時
9月13日(月)19時~20時30分(18時30分よりZoom入室開始)
開催方法
オンラインのみ(Zoom)
講 師
林 健太郎 氏(地球研、農研機構)
JFJ会員・学生:無料申込フォーム
非会員(オンライン:ZOOM) 1,000円Peatixにて参加費を徴収
◆非会員の方でPeatix以外のお申込みをご希望の場合はコチラから
定 員
80人(@オンライン:ZOOM)
お知らせ
*お申込み完了後、 開催当日までに申込登録されたメールアドレスあてに
 オンライン放送のURLをお送りします。
 開催時刻前に届かない場合は、JFJ事務局にメールでお問い合わせください。
 なお、必ずJFJ事務局のメールアドレス(info@jfj-net.com)を「連絡先」等に
 ご登録ください(弊会からのメールが拒絶される場合があります)。
*事前参加登録いただいた皆様には、後日YouTube動画を限定配信いたします。
(不具合で視聴できなかった方、急遽欠席になった場合も御覧いただけます)
お問い合わせ
JFJ事務局
携帯:090-5002-6961
FAX:0467-95-9354
info@jfj-net.com

2021年6月30日 2021年度第2回勉強会の報告

「牛乳」の事例を通して『 食の疑似科学を考える 』

・演 題:「牛乳」の事例を通して『 食の疑似科学を考える 』
・講 師:山本輝太郎氏
   (明治大学科学コミュニケーション研究所 研究員 明治大学情報コミュニケーション学部兼任講師)
・進 行:監物南美(食生活ジャーナリストの会・幹事)
・参加者:オンライン開催 73名
・文 責:監物南美
**************

 一般の週刊誌やネット媒体等を中心に、特定の食品について根拠の曖昧な食の有害情報や効能情報がくり返し見られ、情報の真偽を検証するようなメディアリテラシーや自ら科学的に判断するためのサイエンスリテラシーの向上が求められている。そこで、情報コミュニケーション学がご専門の山本輝太郎氏を講師にお招きし、一般社団法人Jミルクとの共催で勉強会を開催した。講演の前に、Jミルクから、2021年4月から5月にかけての牛乳に関する批判的な報道とその影響の紹介があり、山本氏には「牛乳」を事例として解説していただいた。

【講演要旨】
 「食の疑似科学」というが、じつは科学と擬似科学との境界線は、1本の線で引けるものではない。しかし、その評定は山本氏らのとり組みによってこの数年で可能になってきたという。

1)4つの観点の10条件による科学性判定の取り組み
 山本氏らは科学哲学や科学社会学の知見に基づき枠組みを設定し、4観点10条件による科学や擬似科学の段階を判定するしくみを作った(スライド1)。これまでの牛乳有害説をこの4観点10条件にあてはめてみたところ、理論の観点もデータの観点も全体的に科学性が認められず、「牛乳は有害であると言うことは擬似科学だ」と評定できたという。

2)研究デザインに基づく「エビデンスの信用度判定」
 4観点のうち、データの観点は、研究デザインに基づくエビデンスレベルで信用度がある程度判定できる。山本氏は、スライド2 の各エビデンスレベルの利点と欠点を解説したうえで、牛乳有害説を支持するデータが、エビデンスレベルの低い根拠の弱いものが多いことを紹介した。一方で、支持しないデータはエビデンスレベルの高いものが多かったという。

3)心の偏りに注意 「先入観」は評価を変える
 科学リテラシーの向上というときにもう一つ忘れてはならないのが、「ヒトの心」による影響である。まず、先入観が評価に影響を与えるが、その事例としては、ゲノム編集をとり上げた。ゲノム編集について教育をするとき、遺伝子組換えに対して持っている先入観が、ゲノム編集の学習に影響するかどうかを山本氏がRCTで調べたところ、影響することがわかったという。また、スライド3左のように「遺伝子組換え技術と同じ」と印象づける教材と、スライド3右のように「遺伝子組換え技術と異なる」と印象づける教材を用意し、ゲノム編集のリスクとベネフィットについて学習してもらったところ、遺伝子組換えに否定的なイメージを持っている人は、後者の教材を使った場合にのみ、学習効果が見られたという。


 そのほか、架空のサプリメントの広告を用いて、カクテルパーティ効果についての紹介があった。人は自分ごととして興味がなければニセ情報を信じやすいことがこれまでの研究からわかっており、「真実バイアス」という言葉もある。人の判断のベースにあるのは感情であり、科学的データに感情が入り込みうるものは、取り扱い注意ということだ。

***

 研究者も千差万別であり、科学者が擬似科学を言い出すこともある。しかし、4観点10条件にあてはめて科学的根拠の強弱を推し量り、心の偏りに注意することで、疑似科学情報はある程度区別が可能になる。

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2021年5月27日 2021年度第1回勉強会の報告

「除草剤グリホサートは安全なのか危険なのか」

・演 題:除草剤グリホサートは安全なのか危険なのか」
・講 師:吉田緑・内閣府食品安全委員会委員
・進 行:小島正美(食生活ジャーナリストの会・前代表幹事)
・参加者:オンライン開催 82名
・文 責:小島正美
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【講演要旨】  世界中で使用されている除草剤のグリホサートは、その発がん性をめぐって、米国で訴訟が起きるなど大きな関心を集めている。グリホサートは2015年、国際がん研究機関(IARC)によって「グループ2A」(ヒトに対しておそらく発がん性あり)と分類されたが、JMPR((国連食料農業機関・世界保健機関合同残留農薬専門家会議)、EU(欧州連合)や米国、日本など先進国の政府は「発がん性なし」との評価を行っている。この違いをどう考えればよいのだろうか。いまなお一部のメディアでがんや自閉症などの原因の可能性があると時々報じられることから、吉田緑さんを招き、セミナーを行った。  講演のポイントは3つある。一つ目は、IARCの目的はハザード(有害な影響を起こすもの)を評価することであり、リスク(有害な影響が起きる確率とその強さ、具体的には有害影響が起きない量と摂取量の比較)を評価しているわけではないことだ。IARCが、がんの疫学研究で限定的な証拠があるとしたのは農業従事者であり、食品を介した消費者のことではない。つまり、食品を介した発がん性のリスクはないということだ。 二つ目は、IARCが採用した動物実験などのデータは学術誌などに公開されたデータだけだが、リスク評価で「発がん性はない」としたEFSA(欧州食品安全機関)や日本の食品安全委員会、JMPRはより質が高く、広範囲のデータ(GLP適合やOECDガイドライン準拠試験)を使って評価したということだ。つまり、生データの適切な管理や分析結果の精緻な解析、第三者による保証などの観点から見て、質の高いデータを使って評価したのはEFSAや日本の食品安全委員会のほうだということだ。 三つ目は、厚生労働省の報告によると、日本人が食事から摂取しているグリホサートの量は、使用した全ての食品に残留基準値(食品中に含まれることが許される限度値)まで残留すると仮定した過大な摂取量(理論最大1日摂取量)で見積もっても、長期摂取しても有害影響を起こさない指標値である許容1日摂取量(ADI)よりはるかに低いことだ。 具体的にADIと比べた数値は、一般の成人(7.1%)、乳幼児(17%)、妊婦(7.4%)、高齢者(6.7%)と、どの層もADIより低い値だった。ADIは毎日、生涯にわたり摂取し続けても影響のない量なので、それ以下なら、グリホサートによる健康への悪影響はないと見るのが科学的な結論になるという。 セミナーは定員いっぱいの参加者が集まり、関心の高さをうかがわせた。事前に参加者から寄せられた質問にも答える形での講演だったため、中身はとても充実していた。

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<除草剤グリホサートは安全なのか危険なのか:講演資料(PDF)>

<JFJ 2021年度第1回勉強会アンケート>