「ゲノム編集とは何か―基本のすべてを学べます」

・講 師:江面浩・筑波大学つくば機能植物イノベーション研究センター教授
    :吉尾綾子・農水省農産安全管理課課長補佐
・進 行:小島正美(JFJ代表幹事)
・会 場:日比谷図書文化館(千代田区日比谷公園1-4)
・参加者:60名 
・文 責:小島正美

 講演要旨
  ゲノム編集は、本来ある遺伝子の数から、特定のひとつの遺伝子の機能を減らして、新しい機能を新たに出現させたもの。遺伝子組み換えが、外部から遺伝子を新たに挿入するのに対し、ゲノム編集はその動植物が本来もっている遺伝子を入れ替えるだけで、外部の遺伝子を加えない点が特徴だ。特定の遺伝子を効率よく改変できる「クリスパーキャス9」という手法を使って、いろいろな機能をつくり出すことができるようになった。江面氏はこの手法で血圧の上昇を抑える作用のあるGABA(ガンマアミノ酪酸)の多いトマトを開発した。来年には市場に登場しそうだ。この種の開発に対して、誤って狙ったところとは違う遺伝子を切断してしまう「オフターゲット」問題が指摘されているが、江面氏は「仮にオフターゲットの起きた植物が誕生しても、市場に出る前に選抜で取り除かれ、市場に出ることはない。従来の放射線や化学物質を使った突然変異(文責筆者=そもそもあてずっぽうに遺伝子を壊すので、意図しない遺伝子の変異だらけ)に比べれば、ゲノム編集での遺伝子の変異ははるかに少なく、オフターゲットは大きな問題ではない」などと話し、開発と研究の両方の深い体験に裏打ちされた話は非常に説得力があった。吉尾さんはゲノム編集を取り巻く制度や国の取り組みをわかりやすく話した。


 

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