「日本農業の課題と米政策」の報告

講師:朝日新聞東京本社編集委員室 村田泰夫編集委員

 JFJの会員として私たちはこれまで、真剣に農業について考えてきただろうか。おいしい米の産地や仕入れ方、ごはんの炊き方、安くてうまい店などの話題に偏ってなかっただろうか。いま、日本の農業は実際危ないのだ。うすうすは知っていた。だが、食のジャーナリストとして日本の農業の現状を整理し、今後の展開に関心を寄せることが大切ではないだろうか。

 7月21日、農政ジャーナリストの村田泰夫氏(朝日新聞編集委員)にお話を伺った。出席者は35名。氏はちょうど担当していた朝日新聞夕刊の連載記事「食と農の再生」をテキストに、話を進めた。まず9割がたが死文化している農地法の存在(しかしヤミ転用が堂々と行われている)、日本の農地の約4割を占める棚田など中山間地が後継者問題などで放棄せざるを得ない状況などで、日本の農地全体の約1割以上の68万haが放置されている事実,農業の変化(消費者の食生活の変化)に追いついていけないのに自給率の目標値を定めて、自給率アップを叫ぶ農政……。

  国は今後の農業の方向付け=米づくりのあるべき姿=を策定する農業の基本計画を早急に作らなければならない。農家へのバラまき的支払いから直接支払い制への移行、また、放置農地の活用法としての大企業の進出の是非、そしてなによりも環境を大切のする環境保全型農業の実施と、農政が激変する注目すべき時期だ……。

  村田氏には、まさに今の農業の問題を適切にコンパクトに解説していただいたが、私自身はまだ実感として理解できていない。これを機会に棚田の見学、農家の人(生産者)に話を聞くなどして、もっと”コメ”を知りたいと思ったのは私だけではないはずだ。

(駒井 会員記)

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