2009年2月23日 2008年度第7回勉強会

「食の安全と農薬」の報告

JFJ平成20年度第7回勉強会報告

  • テーマ:食の安全と農薬
  • 講師:東京農業大学総合研究所 客員教授 本山 直樹(もとやま なおき)さん
  • 平成21年2月23日、18:30-20:00
  • 於:東京ウイメンズプラザ会議室
  • 参加者:45名

まとめ:佐藤達夫

01.jpg本当に国民の利益になる「農薬とのつきあい方」

ほぼ一月前に行われたJFJの公開シンポジウムの際に、この勉強会の案内を配布した効果なのかもしれないが、「食の安全と農薬」をテーマにした第7回勉強会には、通常の2倍以上の参加者が集まった。イスや資料が不足して、幹事が手分けしてその対応に追われるほどであった。

千葉大学園芸学部で、長年、農薬の研究を続け、昨年から東京農業大学総合研究所の客員教授となった本山直樹氏が、豊富な実例を元に、最近のわが国における農薬を取り巻く緒問題について解説した。

まず、基本的知識として、農薬はなぜ必要なのか。本山氏は、動物である私たち人間が病気になると薬を飲み、病気を予防するためにワクチンを使用するのと同じ理由で、植物である野菜も、病気になれば薬が必要だし、病気の予防のためにはワクチンが必要だという。農業に用いる薬が「農薬」。

最重要点は、植物の病気が防げても、それを食べた人間が病気になってしまったり、健康を害したりしてはならないという点である。つまり、人間にとっての安全性をどう確保するかが、最大の課題である。この点については、日本の農薬取締法はきわめて厳しく、急性毒性試験、慢性毒性試験、環境毒性試験、そして繁殖毒性(次世代への毒性)試験などが課せられている。これらをすべてクリアしたものだけが農薬として登録される。登録されない物は、製造も販売も使用も許可されない。

次に本山氏は、有機農業の現場で使われている、偽装“自然農薬”の問題点を指摘した。いわゆる自然農薬の多くは、「害はないけど効き目もない物」と「よく効くけど有害な物」の二つに分類されると、本山氏は分析する。有機農業として使用してもいい防除資材の中に、危険性のきわめて高い農薬成分が紛れ込んでいる事実を本山氏たちは突き止めている。

このことにより、有機農業を実践しようと多大な努力を払っている農家に対して取り返しのつかない損害を与え、それを食する消費者に健康被害を与える可能性があるという。何より、有機農業そのものに対する信頼を失わせるという点で、その犯罪性は極めて高いと糾弾した。

また、本山氏は、適正に農薬を使用して作った農産物と、無農薬で作った農産物とを比べると、かならずしも無農薬野菜(や無農薬果実)のほうが安全であるとは限らない、という驚くべきデータも提示した。

本来、植物は、動物から身を守るために(動物にとって)毒のある成分を、自ら生産する。人間が農薬を使用することによって(植物にとっての)害虫から守られるために、その成分(自然毒という)の生産量が減るのだという。逆にいうと、無農薬栽培では植物が生産する自然毒の種類と量が増えることになり、人間に対する安全性も低くなる可能性がある、というのである。

まとめとして、日本で使われている農薬は消費者の健康に悪影響を与えてはおらず、生産者に過度の負担を与えているという危惧は否定できないものの、登録農薬を適正に使って栽培した農産物が最も安全で品質もよいと、本山氏は結論づけた。

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