「西日本支部キックオフ勉強会」の報告

・講師:辻料理教育研究所所長(JFJ会員)八木尚子氏
    辻静雄料理教育研究所 研究顧問  山内秀文氏
・日時:2016年12月17日(土) 13:30~16:00
・於:エコール 辻 大阪 カレッジホール
・参加者:21名
・まとめ:小山伸二

「西日本支部キックオフ」に向けて特別勉強会を企画しました。
テーマは、世界のガストロノミーの最先端での取り組みと、メディアの役割について。
講師は、辻静雄料理教育研究所の所長の八木尚子氏、同研究所の研究顧問の山内秀文氏のお二人でした。

■講演内容
⓵「世界のガストロノミーマニフェストと、日本の未来」フランス料理史の研究家でもある八木氏。

フランスで1973年、2人のレストラン批評のジャーナリスト、クリスチャン・ミヨと
アンリ・ゴーによって発表された「ヌーベル・キュイジーヌ宣言」。そして、2004年、
クラウス・マイヤーを中心にした「新北欧料理宣言」として発表された二つのマニフェストの比較を
通して、現在のガストロノミーの最先端の状況は解説してもらう。。
フランスと北欧。時代背景や両地域の食文化が異なり、マニフェストの文脈、趣旨、中身は異なるが、
いずれも美食を核とする関連産業の発展に大きな役割を果たしたという共通項はあった。
現在、Cool Japan戦略の一環として、日本版ガストロノミーマニフェストの模索が始まっている今、
ヨーロッパにおける先行事例としての紹介となった。

講演⓶:「ミシュランとワールドベスト50」からみたガストロノミーの世界 ~中南米の美食シーン~

山内氏は、21世紀に入ってスペイン、北欧の次にガストロノミーの「ホットスポット」的な存在に
なっている南米でのレストランの最新情報をスライド写真を見ながらの解説でした。
世界的なふたつのガイド「ミシュラン」と「世界のベスト50レストラン」を通してガストロノミーに
おける価値の変遷を解説。中南米におけるフィールドワークをベースに。美食のこれからを考えるうえ
で、さまざまな視点を与えてもらいました。

グローバルな価値観として、ローカルで、土着的な伝統から生まれた「最先端」が注目されている、
ということ。ガストロノミーにおける食文化の多様性に注目があたっている、というふうに捉えること
ができそうだ。

あとは、ここに地球環境問題、食糧問題、貧困問題など課題だらけの現代において、より持続可能な社会
を作るために食関連の産業ができること、ガストロノミーが寄与できることはなにかという視点も論点に
入ってくることになるだろう。

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