食と健康の関係は、我々食生活ジャーナリストにとって重要なテーマです。科学的に十分根拠があり、正しい情報を届ける大切さは誰しも認識しているところでしょう。身体を適切な状態に保つための食情報にあふれた現代について、摂食障害を研究してきた人類学者の磯野真穂さんは、著書「なぜふつうに食べられないのか」の中で、「私たちは科学的に正しい食べ方をし、専門家の目から見て適切な心身をつくるために生きているのだろうか」と、自然科学と専門的言説が日常生活を侵食することに疑問を提起しています。我々の発信が、受け取る側の生き生きとした生を抑圧することにつながっているのか。そうだとしたら、食に関わるジャーナリストができることは何か。磯野さんのお話をうかがい、考えてみたいと思います。
【講師プロフィール】
磯野真穂(いその・まほ)
人類学者(文化人類学・医療人類学)
長野県安曇野市出身。早稲田大学人間科学部スポーツ科学科を卒業後、アスレチックトレーナーの資格を取るべく、オレゴン州立大学スポーツ科学部に学士編入するも、自然科学のアプローチに違和感を覚え、文化人類学に専攻を変更。同大学大学院にて応用人類学修士号、早稲田大学にて博士(文学)取得。その後、早稲田大学文化構想学部助教、国際医療福祉大学大学院准教授を経て2020年より独立。
身体と社会の繋がりを考えるメディア「からだのシューレ」にてワークショップ、読書会などを開催。著書に『なぜふつうに食べられないのか――拒食と過食の文化人類学』(春秋社)、『医療者が語る答えなき世界――「いのちの守り人」の人類学』(ちくま新書)、『ダイエット幻想――やせること、愛されること』(ちくまプリマ―新書)、宮野真生子との共著に『急に具合が悪くなる』(晶文社)がある。
《開催概要》———————————————————
掲載日:2022/12/27 | カテゴリー:活動カレンダー