2002年3月8日 2001年度勉強会

「低温スチーミング調理」の報告 

講師:低温スチーミング調理技術研究会代表 平山一政氏

2002年3月8日(金)、家の光会館において、低温スチーミング調理技術研究会代表・平山一政氏をお迎えして、これからの加熱調理に新しい進展となる「低温スチーミング調理」について講義をしていただき、平山さん手作りの試食もさせていただきました。

火を通して食べる意味

 人間だけが物に火を通して食べます。近年はペットも加わりました。それは柔らかくなって食べやすいということに加えて”おいしくなる”からという単純な理由にあります。でも、なぜ火を通すとおいしくなるのでしょうか。それは食材のもっているうまみ成分が熱を通すことによってひき出されるからです。もし、火の通し方がよくなければ、素材のうまみは生かされず、おいしさも充分に出せないままになってしまいます。物をおいしく食べるには加熱の仕方が重要になってきます。 今回の平山一政先生のすすめる”低温スチーミング調理”はこの視点に立った熱効率のよい”蒸す”という調理技術を改めて見直した点にあります。

古くて新しい調理法”低温スチーミング”

 火の通し方として、煮る、焼く、炒める、揚げる、蒸す、の調理法があります。この中でいちばん熱効率よく火を通す方法が”蒸す”ことです。蒸す方法は温度を一定に保ち、うまみ成分をとじ込め、酸化も少ないという優れた点にもあります。他の調理法からするとむだなく、おいしく、食材をひき立てる調理法といえます。また、一般的に蒸すというと100℃という常識がありますが、必ずしも100℃の高温にかぎったことではなく、これも古くから”低温蒸し”という方法があり、お茶の葉などはこの低温で蒸したほうがうまみが出るということです。また調理人も、火力を弱め、鍋のふたをずらして蒸す方法をやります。素材のもつうまみを引き出すにはなにも高温でなくとも、その食材にあった温度で火を通しおけば、よりうまみがひき立ち、おいしくなります。この100℃以下で蒸すことを「低温スチーミング」といいます。そして、素材にあらかじめ火が通っていれば、あとで焼いたり、煮たり、揚げたりすることで、短時間で仕上げることができます。

どうして低温スチーミングはよいのか

 蒸すという調理法は、素材を蒸気で包むことで表面が薄い膜でおおわれ、温度が上がっていくと水溶性の脂肪やたんぱく質はドリップとなって出てしまいますが、うまみ成分となるたんぱく質や脂肪は中に閉じ込められるという特性があります。また、高温になるほど空気を必要とし、素材が酸化しやすくなりますが、低温だとそれも少なくなるということです。
 アメリカの工業界では、この低温蒸しが見直され、進展を始めています。

うまみをひき出す温度とは

 では、素材を生かしてうまみやおいしさを作る火の通し方とその温度はというと、酸素を生かし、変色を防ぎ、たんぱく質を固め、肉質を柔らかく、殺菌効果などを目的とした温度であること。その温度は最高80℃で充分クリアします。この80℃という温度は酸素が生かされる温度です。素材にあわせた温度で低温スチーミングし、酸素を活性化させると思いもよらないおいしさをひき出すことがあります。これは今後の研究テーマとして重要な意味を含んでいると思います。

家庭でできる低温スチーミング料理(試食から)

<野菜の酢漬け3種>
 もどした切り干し大根、にんじん、にんにくはそれぞれ適温の低温で蒸し、甘酢醤油につける。
<五目おから>
 おから、にんじん、しいたけ、油揚げ、もどしたひじきをそれぞれ、低温で蒸し、出し汁、醤油、みりん、砂糖、酒であえるかサッと煮る。
<鍋は>
  深鍋と、ふたにボウルを使う方法もありますが、ここでは、先生考案の自動コントロール二段蒸し器を紹介します。下鍋の電気ヒーターに水をはって蒸し網に食材をのせ、蒸すという温度センサーつき鍋です(特許出願中)。詳細は下記へお問い合わせください。

連絡先

スチーミング調理技術研究会代表 平山一政  電話:03-3705-3861

(レポート:平山京子)