佐藤達夫氏(JFJ 会員)

 「食事制限をせず、運動もしないで、やせる。そして絶対にリバウンドしない」というキャッチフレーズで登場した『低インシュリンダイエット』が、テレビ番組で取り上げられたのをきっかけに、2001年夏ごろから若い女性を中心に大流行をしている。提唱者の永田孝行氏著あるいは監修の単行本も相当数発行された。
 低インシュリンダイエットの理論的支柱は「インシュリンというホルモンが肥満の原因であり、このホルモンの分泌量を低くする食べ物を選んで食べれば、食事制限もせず、運動もしないでやせられる」というもの。このような、インシュリンに対する誤った認識を広めることは、けっして好ましいことではない。
 出版に携わるものとして、「売れる本」を作りたいという心情はわかる。また、100%正しいものでなければ出版物にしてはならないというわけでは決してないことも理解できる。
 しかし一方では、JFJの一員として、正しい情報を検証してから世に送り出すべきではないか、という指摘もしておきたい。
 低インシュリンダイエットに惑わされて、体重コントロールに失敗したり、糖尿病を悪くしてしまったりする人が少なからず報告されている。また、本来、糖尿病患者の治療用に用いられはじめた「GI値」という考え方(正しく理解すればダイエットにも応用できるといわれているもの)が、低インシュリンダイエットで「不正確」に使われたために、信頼感を失いかけているという点も、見逃すことはできないだろう。
 日本だけではなく多くの先進諸国で、大量のダイエット本が「現れては消え、出版されては絶版され」ている。出版の自由は保障されるべきものだが、医学的な理論をまとい、購買者に健康上の被害を与える可能性の高い内容のものについては、それなりの自主規制があってしかるべきではないだろうか。