・講 師:吉田達也氏(株式会社菜友 プロジェクトマネージャー)
・会 場:3331 Arts Chiyoda
・参加者:41名
・まとめ:監物南美

 食中毒や食育、残食など、毎日さまざまなテーマで学校給食はニュースになり、話題になります。給食について情報発信するときに最低限知っておきたい歴史や法律、現場の事情を、講師の吉田達也さんにうかがいました。また、もと栄養教諭であるわたなべあやこさん(《テシゴトカフェ星ノ夜ノボート》店主)作成の給食風お弁当を、学校給食同様の20分間で牛乳とともに味わいディスカッションしました。

■日本の学校給食の目標は世界に類を見ない長文
 学校給食の目標は法律で定められています。学校給食法第二条に、義務教育の目的を実現するためのものとして、7項目が目標として記されています。適切な栄養摂取や望ましい食習慣の形成のほか、「明るい社交性及び協同の精神を養うこと」「勤労を重んずる態度を養うこと」などまで含まれています。国の制度として学校給食を実施している国は多数ありますが、日本ほど細かく定めている国は世界に類を見ません。現在公立の小学校では2万校(99.1%)、中学校では9500校(88.8%)で実施されています。

■戦後、日本人の自立のために有償に?
 学校給食の始まりは、山形県鶴岡市に明治22年設立された忠愛小学校といわれていますが、江戸時代の会津藩という説もあります。その歴史において注目すべきは戦後まもなくの学校給食です。戦後はアメリカ国内の宗教団体や社会事業団体、そして日系団体などを中心に集められた物資が提供され、全国の児童約300万人の給食を支えました。これがLARA物資で、ヤギなどの生きた動物も届けられました。日本政府は無償化を検討しましたが、GHQが「パンは自らの労働で得ること。これを日本人の子供たちに教えるべきだ」と判断し、有償となりました。

■給食費の現状、未納の現状
 学校給食は地方自治のため、給食費は自治体によって異なります。現在無償化している自治体は83市町村。「第一子は有料で第二子からは無料」などのバリエーションも増えています。平成27年度の月額平均は小学校中学年で4,306円、中学校で4,921円であり、1食あたりにするとそれぞれおおよそ250円と290円となります。
 一方で、全体の1%の小中学生が未納となっており、その年間総額は26億円にのぼります。この対策として、支払いを振り込みではなくあえて直接回収にするなどの取り組みが行われていますが、教職員の負担となっています。今年9月、文科省は、給食費の徴収業務を教職員が担うのではなく、自治体が直接行うよう求める方針を決めました。

■学校給食ではまだ「日本人の食事摂取基準2010年版」が基になっている
 現在、日本人が健康を維持するための栄養素とその量は厚生労働省が定める「日本人の食事摂取基準2015年版」が運用されていますが、学校給食では、文部科学省の定める「学校給食摂取基準」をもとに献立が作成されています。この「学校給食摂取基準」は食事摂取基準がもとになってはいるのですが、食事摂取基準が2015年に改定されたのに対し、現在の「学校給食摂取基準」では改定が追いついておらず、まだ2010年版がもとになっています。そのため、学校給食の塩分量が高いなどの齟齬が起き、もっと食塩を控えるべきとの指摘もなされています。しかし、その一方で、食塩量を減らすと残食が増えるという問題もあります。国の食育推進基本計画では、学校給食から発生する食品ロス削減に向けた取り組みも行われており、さまざまな課題に応えるバランスのとり方はなかなかむずかしいところ、というのが実情のようです。

 このほかにも、食中毒対策や食品アレルギー対応、地産地消の取り組みなど学校給食において栄養教諭はさまざまなことを求められ、食事を提供していますが、じつは、栄養教諭の配置効果そのものもいま問われています。「皆さんはどう考えるか、地域の学校給食に興味を持っていただいて、いっしょに考えていきましょう」と話を締めくくりました。

・学校給食に関する情報をフォローしたい方は、《給食ひろば》のサイトをご覧ください。
給食ひろば http://www.kyushoku.jp/

学校給食チラ見せ弁当内容

obentou
作:わたなべあやこ

ごはん:給食のごはんは地元産を使う。
ツナポテトサンド:とりにくい豆をツナポテトに混ぜてある。
いりこナッツ:種実類もとりにくいので趣向を変えて出す。
わかめとコーンのサラダ:コーンを加えると彩りがよくなりよく食べる。
磯香あえ:昨年は焼きのりが食中毒の原因となり話題になったが、のりは炒って
香りを出して使うのが基本。
豆腐の真砂揚げ:洋風料理に添えるときには「豆腐のナゲット」として出しちゃう。
レバーの甘辛煮:食体験のため、ハードルの高い素材もあえて出すことがある。
サバのタンドリーグリル:青魚を食べやすく。
りんご・オレンジ:生の果物は食中毒予防のために出せない地区もあれば出している地区もある。