・講 師:神田瑞穂氏(日本アセアンセンター観光交流部・部長代理)
・会 場:東京ウイメンズプラザ
・参加者:38名
・まとめ:小島正美
 
 現在、日本国内には約10~20万人のムスリム(イスラム教徒)が住み、ムスリムの多いマレーシアやインドネシアなどからの観光客が急増しています。しかし、何をどうもてなせばよいか、なかなか分かりません。レストランでもどう対応したらよいか迷っている人も多いはずです。そうした中、日本アセアンセンターの神田さんをお招きし、おもてなしの基本を学びました。

■桜や紅葉のほか体験型の観光が人気
 神田さんによると、今年1~6月、マレーシア、タイ、インドネシアなど東南アジア6カ国から約1376万人の観光客が来ました。すべてがムスリムではありませんが、相当な数です。日本の文化、桜や紅葉の景色、地方の生活などを体験する体験型の観光が目立ってきています。

■絵文字や英単語で材料表記をする手も
 迎える側が一番気を遣うのは食べ物ですね。ムスリムにとって一番の禁忌(「ハラム」といいます)は豚肉とその由来品です。ベーコンやハム、ソーセージ、ラード、豚骨スープはだめです。アルコールも禁忌なので、料理酒やみりんも要注意です。
 とはいえ、同じイスラム教徒の人でも、厳格に守る人とゆるやかな人がいます。人によっては、豚肉は食べないが、アルコールは飲むというケースもあります。ムスリムでもいろいろな人がいることを覚えておきましょう。ただし、基本は豚肉とアルコールの禁忌です。
 料理を出すお店では、まずは豚肉とアルコールを避け、あとは食材の中身が分かるような絵文字か英単語(豚ならPORKなど)を描いたピクトグラム(ピクトグラフとも言う)入りのメニューを用意するのがよいです。

■必要に応じてお祈りの場所を確保する
 ムスリムは毎日、礼拝をします。必要に応じて、お祈りの時間と場所を確保することも必要です。お祈りの場所といっても、特別に広い空間が必要なわけではありません。
 礼拝用のマットの変わりになるバスタオルや清潔な布類を用意しておけばよいですね。メッカの方角を知るコンパスは、最近ではスマホのアプリが活用されています。

■観光の魅力をていねいに伝える気持ちが大切
 食事の好みをいえば、薄い味ではなく、はっきりした味を好みます。冷たいものよりも温かいもの、パンよりご飯が好みです。豪華な料理を意識する必要はなく、庶民的な日本食が意外に喜ばれます。
 あまり先回りして過剰に気遣う必要はありません。日本の観光の魅力をていねいに知らせるという温かい気持ちがあれば、それで十分です。どの程度の対応が可能か、事前にこちら側の情報を開示して、相手に選んでもらう方式がよいでしょう。
 とにかく、あまり極端に特別視しないことが大事です。