2016年4月26日 2016年度特別勉強会

「『機能性表示食品制度』を考える」の報告

・講 師:武田 猛 氏(健康食品ビジネスコンサルタント)
・日 時:2016年4月26日(火)18:00~20:30
・会 場:東京ウィメンズプラザ 視聴覚室
・参加者:38名
・まとめ:小島正美

■勉強会のねらい

機能性表示食品制度が始まって1年たった。市場にはたくさんの製品が並ぶようになったが、何をどう選べばよいか迷う消費者も多くいる。そこで、同制度に関する情報に詳しい武田猛さんをお招きして、これまでに消費者庁に受理された約270品目の用途別内訳、科学的な信頼度などを詳しく分析したデータを披露していただくことに。
この制度のよい点、悪い点、改善すべき点はどこかなどを考える契機にしたい。

■武田さんの講演要旨

・制度の現在
機能性表示食品制度が2015年4月から始まって1年たちました。3月31日時点で273件の届け出があります。内訳は、サプリメントが131件(48%)、加工食品139件(約51%)、生鮮食品3件です。
科学的な根拠として採用された試験・文献の内訳を見ると、人を対象にした臨床試験は33件(約12%)、残りはシステマティック・レビュー(SR)といって、科学的な信頼度の高い複数の文献を基にしたものです。人の試験が少ないことが分かります。
機能性関与成分としては、難消化性デキストリンが31件で最も多く、次いで、葛の花由来のイソフラボン(23件)、EPA・DHA(18件)、酢酸(16件)、GABA(14件)、ビフィズス菌ビフィックス(13件)、ヒアルロン酸(12件)、ルテイン(11件)などとなっています。デキストリンが多いです。
従来の特定保健用食品(トクホ)に比べて、健康効果を表す表示の表現は大幅に増えました。「目の効果」「骨の効果」「関節の効果」「睡眠のサポート」「疲労の軽減」「抗アレルギー」「脳の健康」「筋肉の健康」「メンタルヘルスの効果」など、さまざまな表現が出てきたのが大きな特色です。従来は何も表示できなかったので、それに比べると大きな変化です。

・制度のメリットと課題、改善点
1年を振り返ってみて、機能性表示食品制度のメリットとしては、
①届け出情報が公開され、だれもがネットで閲覧でき、読めるようになった
②トクホでは許可されなかった機能性が数多く表示できるようになった
③これまで認知度の低かった素材・成分が短期間で売り上げを伸ばした
④努力次第で中小企業でも利用できるようになった、などが挙げられる。

一方で課題もあります。
①届け出情報の内容が企業間で大きな差がある
②一般の消費者が届け出情報を読みこなすことが難しい。専門用語などが多かったりするからだ
③生鮮食品としては、みかんなどが出てきたが、毎日、みかんを3個食べ続けることがはたして健康によい結果をもたらすかは、まだよく分かっていないのではないか。つまり、食事のバランスが崩れる可能性がある
④砂糖を含む食品に「糖の吸収をおだやかにする」といった表示があるが、それは意味のある表示なのか
⑤安全性の評価は企業のみの責任で行われているが、はたして、企業だけにまかせてよいのか、などが課題と言えます。

今後の改善点として、
①現在、非公開となっている機能性関与成分の分析法や規格を公表すべきだ
②受理された食品と受理されなかった食品の判断基準が公表されていないので、もっと基準を明確にすべきではないか
③書類のチェック期間が長いので、もっと短縮すべきだ
④米国の制度のように、安全性の評価は国がやるべきだ、などを挙げました。

■参加者との質疑応答

終了後、会場からは、そもそも機能性食品は国民の健康に寄与するのかどうかをめぐって、活発な議論が展開された。
民間事業者からは「消費者が活用して満足ならよいのでは」という意見もあったが、科学者からは「健康食品への期待が強すぎる。もっと冷静に見た方がよい」という意見が強く出された。