2015年11月8日 2015年度第5回勉強会

「お米の品種開発と食味」の報告

・講師:清水宜之((一財)日本穀物検定協会)
・日時:2015年11月8日(日)11:00~14:00
・於:表参道「五丁目 千 きいろ」
・参加者:19名
・まとめ:村上真一

■勉強会のねらい

全国で様々な品種開発が行われている一方、消費の減少という実情もある米。そうした背景を加味した上で、日本の米の生産の基本、品種改良の実情と背景、さらに官能評価と食味ランキングにまつわる話を織り交ぜて、米の品種開発と食味の評価方法について学ぶ。

■米の生産の基本

日本の米のひとりあたりの年間消費量のピークは1962年(118.3キロ)で、2012年は56.3キロと50年で半減した。食の多様化が主な原因とされる一方、米に対する関心が量から質へと変換したことも一因といえる。
日本で生産される米の品種は300種以上で、生産量の多い品種(1位コシヒカリ、2位ひとめぼれ、3位ヒノヒカリ)のうち7割はコシヒカリ系統。また年間の国内総収穫量は860万トンで、県別ベスト3は新潟県(66万トン)、北海道(63万トン)が図抜けている。
講師の方のお話

■品種改良へのとりくみ

品種改良は協会の全国13カ所の体制にて、病害虫・気候条件への耐性、収穫量の多収、良味性の追求を目指し、個体の選抜・育種を行っている。1施設で年間100~200の組み合わせ交配を実施しているが、その成果に対して自治体等のブランティング、マーケティングといった意向が加味されることもある。
技術的には、初期の分離育種法から交配育種法による人工交配が行われるようになり、「陸羽132号」は人工交配の最初の品種。現在ではさらにDNA識別も加わり、種苗の特性を確実に把握し、優れた品種を人工交配に用いる流れとなっている。

■人工交配のしくみ

人工交配は成果が出るまで、10年もの歳月がかかる。流れは、まずは1代目を育成して2年目に2~3代目をつくり、3代目で20万株から2000株の固体選抜を行う。そこから4年目の5代目で単独系統を選抜し、系統育成試験と生産力・特性の検定を2~3年かけて行う。8~10年目の10代目以降で奨励品種の決定調査を行い、ここではじめて名前がつけられ10~11年目でようやく新品種の誕生となる。
しかしながら、生み出されたすべての新系統が商品化されるわけではなく、その時の販売戦略や食文化、生産性などで、選ばれる系統が影響を受ける。なので新品種の研究開発は、10年後の米の市場・消費動向を見据えることが必要とされる。

■米の食味官能試験

協会では1971年より、年間130の産地品種の食味官能試験を実施、「特A」など、食味ランキングを公表している。最新の評価では、全国42産地品種が特A評価。
評価は20人の評価者による官能評価と、食味計を使った機器による理化学測定を併用する。人間の評価は鋭敏だが、体調等によりブレがあるため。評価は物理的要因(見た目)が7割を占め、次いで香り、舌触りなどが対象となる。
評価方法は基準米に対する相対評価で、香り・外観(つや、白さ、粒の形状)・味・粘り・硬さ・総合の6項目を7段の尺度で評価する。一口を7~8回噛んで、ほぼ同時に評価を行う。

おひつの米

■参加者による官能評価

研究会後、3つの品種を参加者により官能評価を行った。品種は「新潟魚沼十日町産特別栽培米こしひかり」「山形県産特別栽培米つや姫」「北海道産特別栽培米ゆめぴりか」で、ブラインドで行い各自で評価表にそれぞれの評価を記載した。食べ比べるとそれぞれの香りに甘さ、瑞々しさの違いがはっきり分かり、品種ごとの特徴が際立って感じられた。参加者の中には、ずばり3つとも宛てられた方もいらっしゃり、官能評価の内容や意義を感じることができる体験であった。(まとめ・村上)

料理 お料理を待つ参加会員