2014年11月27日 2014年度第6回勉強会

「ミラノ国際博覧会日本の戦略」の報告

・講師:ミラノ国際博覧会 日本館広報・行催事プロデューサー 桐山 登士樹氏
・日時:2014年11月27日(木)18:30~20:00
・於:東京ウィメンズプラザ第一会議室
・参加者:18名 
・まとめ:成田花緒里

 食をテーマに、2015年5月開催されるミラノ国際博覧会。日本では、農林水産省と経済産業省が中心となり、「日本食」や「日本食文化」に詰め込まれた様々な知恵や技を、世界に向けて発信する予定。しかし、その具体的な中身については、あまり伝わってきていない。
 そこでミラノ万博出展のキーマン、日本館広報・行催事プロデューサー桐山登士樹氏に、日本館の狙い、詳しい出展内容、課題について等、仕掛けづくりに携わってきた当事者から、舞台裏の話を直接伺った。

■ ミラノ国際博覧会の概要

開催地:イタリア共和国ロンバルディア州ミラノ県ロー市
会 期:2015年5月1日-10月31日(184日間)
会場面積:110ha
想定入場者数:約2,000万人
想定参加国等:147カ国・地域・国際機関が参加表明(2014年5月現在)

■ テーマと課題

テーマ:「地球に食料を、生命にエネルギーを」― Feeding the Planet, Energy for Life ―
 
背景には、地球的課題である『飢餓』と『飽食』がある。
世界レベルでの人口増加により現在およそ10億人が深刻な貧困と飢餓に苦しんでおり、限られた資源の中で今後継続的に食料を確保していくことが重要な課題である。
一方、先進国では世界10億人以上が飽食による栄養の過剰摂取による肥満状態にあり、健康問題が懸念されている。

  サブテーマ:
1.「食料の安全、保全、品質のための科学技術」
  農業、食品産業における研究の分野にスポットをあてる。
  研究、開発、技術革新で食品の品質がどのように改善できるかを示す。
2.「農業と生物多様性のための科学技術」?
  進化プロセスの維持と環境の悪化を防止するための生物多様性の保護と促進。
  食の安全性、環境と農業の関係を引き出す。
3.「農業食物サプライチェーンの革新」?
  サプライチェーンにおける、異なる特性と革新技術のダイナミクスの研究。
4.「食育」
  食事を摂取する際の、意思決定や行動における教育の重要性。
  最新の科学的視点で人々が認知し学ぶためのツール。教育機関への普及活動。
5.「より良い生活様式のための食」
  食と健康。
  栄養、健康促進する品質の良い食べ物と貧しい食生活のリスクについての研究。
6.「食と文化」
  人々の食習慣から各国の独特な文化を提示する。
  様々な国の食習慣が一堂に並び、間近で学ぶ機会。
7.「食の協力と開発」
  革新的プロセスに向けて、様々な参加国・国際団体やそれぞれの役割と特性を認識し
  食品に関する協力開発のための協力やパートナーシップについて模索する交流の場。
  
食をめぐる課題は広範かつ多岐にわたっており、課題解決が急務となっている。
日本館出展にあたっては、このような人類共通の課題に対する日本としての貢献策や解決策の模索、提示が求められている。
懸念事項としては、万博の祭りムードが強くなり過ぎることで、テーマそのものが埋没する可能性。どれだけ真剣に向き合うことができるか。

■ 日本館概要

出展テーマ Harmonious Diversity ー共存する多様性ー

私たち日本人は、自然と共生する多様な農林水産業を礎に、米を主食とし、うま味や発酵技術を活用しつつ、魚介類や野菜など様々な「食」を享受し てきた。また、自然の叡智を謙虚に取り入れながら、高度な伝統工芸技術・職人技を食器や調理器具、食空間にまで反映させ、豊かな「食文化」を築 き上げてきた。?農林水産業や食をとりまく多様な取組。日本食・日本食文化に込められた多様な知恵と技。日本が培ってきた「多様性」は、食料問題 など地球規模の課題に貢献する大きな可能性を秘めている。2015年ミラノ国際博覧会に、日本は「Harmonious Diversity ? 共存する多様性? 」を テーマに参加することになった。

メインメッセージ:日本の農林水産業や食を取り巻く様々な取り組み、「日本食」や「日本食文化」に詰め込まれた様々な知恵や技が、人類共通の課 題解決に貢献するとともに多様で持続可能な未来の共生社会を切り拓く。 

サブメッセージ:「いただきます、ごちそうさま、もったいない、おすそわけの日本精神が世界を救う。」 幹事省:農林水産省、経済産業省 副幹事省:国土交通省 参加機関:日本貿易振興機構(ジェトロ)敷地面積:約4,170m2
 
日本館出展の意義としては、日本の食、食文化によって人類共通の課題解決に貢献できる可能性を示す。また、日本館の展示や行催事を通じて、日本 の食・食文化の素晴らしさ、奥深さを世界へ配信・アピールする契機とする。

現地ミラノでは、健康志向もあり日本食がブームとなっている。一方で、日本人にとっては当たり前の日本食の特徴「自然との共生、多様性」や「食 文化・歴史」等を、世界の異文化の人たちにどう伝えるかが出展において重要なポイントである。また、万博後を見据えた情報発信についても考慮が必要。

勉強会終盤の質疑応答では、「日本食の定義」「農林水産省、経済産業省それぞれの取組み、進捗状況」「現地への食材持ち込みの課題」「万博後も見据えたサステイナブルな取組みとは?」などについて、活発な意見交換が行われた。