・出席:阿南久(消費者庁長官)、JFJ会員
・2014年3月26日(水)18:30~20:00
・於:東京ウィメンズプラザ会議室
・参加者:20名
・まとめ:佐藤達夫

 今年度最後の行事として、会員からの要望が多かった消費者庁長官との懇談会が実現した。実は、1月中に予定されてあったこの懇談会なのだが、昨年の秋から暮れにかけて、ホテルのメニュー偽装問題や冷凍食品への殺虫剤混入事件などが相次ぎ、長官から「必ず実行するので、時期をずらせてほしい」との依頼があり、年度末ぎりぎりになってしまったものである。
 消費者庁は平成21年に発足したのだが、いま正念場を迎えているといっても過言ではない。国をあげて警告しているにもかかわらず増え続ける「高齢者をターゲットにした詐欺事件」、福島原発に端を発する「風評被害」対策、それに加えて、戦後はじめて取り組まれた「食品表示法」の新設等々、いずれも、行政・国民双方にとって未経験の事柄ばかりである。
 そんな中から、JFJとの懇談会として、「食品関連」に限ったテーマで、阿南長官にお話しいただいた。

■食品表示法の具体的中身は”これから”

 JFJにとって最も関心が高いのは、何といっても平成25年6月28日に公布された「食品表示法」だ。この食品表示法が成立するまでは、食品表示に関しては、食品衛生法、JAS法、健康増進法など、様々な法律の中に規定があった。典型的な「縦割り行政」であった。
 今回は、この3つの法律の「食品表示」に関する規定を統合する形で、包括的・一元的な制度が創設されたことになる。同時に、現在は任意制度となっている「栄養表示」についても、義務化が可能になることは、国民の健康増進に大きく寄与することが期待される。
 ただし、食品表示法は「基本理念」等の大きな枠組みが決まっただけで、具体的な中身については、これからの課題となっている。消費者の権利の尊重が大前提とはなるが、事業者にとっても使いやすいものでなければ実効性が低くなるため、普及が進まない。その点を踏まえた議論が現在進行中なのである。注意深く見守る必要がある。

■だれでも・いつでも・どこでも

 法律の改正と同様に重要なのが、消費者を守るための「行政の対応」だ。現在の消費者行政は、どうしても都市部に厚く、地方へ行くほど手薄くなっている。また、消費者の中には「国が守ってくれる」という他人任せな人も少なくない。阿南長官は、これからは「だれもが、どこに住んでいても、生涯を通じて、様々な場で」消費者教育を受けることができる機会が与えられるような環境を整えていくと強調した。同時に、消費者も自立すべく、活動してほしいと要望した。
 年々増加する消費者庁の課題に対して、わずかずつではあるが人員も予算も増えつつある。平成26年度には消費者行政活性化のための「先駆的プログラム」を実施していく。国から提案するテーマとしては、次の5つがある。
1.食の安全・安心の確保
2.風評被害の防止
3.消費者のための安全・安心地域体制の整備
4.消費者被害回復制度の運用に向けた活動の支援
5.消費者教育の推進
 これらは国と地方がコラボレーションする形で進められるので、希望者は積極的に手をあげてほしいと、いうのが長官(国)からの提案である。
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 これ以外にも、食品ロス、食品の機能性表示、メニューの偽装表示など、われわれにとって興味深いテーマが続いた。長官の熱弁が予定時間をオーバーしたので、JFJ会員との質疑応答は時間内に収まらず、多くの会員が、近隣の中華レストランで行われた「懇親会」に参加した。
 食事をしながらの「Q&A」は、長官のフレンドリーな人柄に誘導されて、まさしくざっくばらんなひとときとなった。食生活とは切っても切れない消費者庁なので、このような懇談会は定期的に(1年に1度くらい)開催すべきであると強く感じた。