2013年7月25日 2013年度第3回勉強会

「健康食品の機能性表示緩和」の報告

・講師:大村美香 氏(朝日新聞文化くらし報道部 生活グループ 編集委員/JFJ会員)
・2013年7月25日(木)午後6時半~8時
・於:東京ウィメンズプラザ 第一会議室
・参加者:27名
・まとめ:本間朋子

 日本政府は今年6月、規制改革会議の答申を受けて、経済財政政策の柱となる成長戦略のひとつとして「一般健康食品の機能性表示を可能とする仕組みの整備」を閣議決定した。現在は特定の食品に限っている効果の表示を、いわゆる健康食品や保健機能を持つ加工食品、農林水産物にまでも規制緩和する方針だ。現状と今後の課題について、新聞記者として取材を重ねてきた大村美香氏に解説していただいた。

■「健康食品」の定義と許可までの流れ

 はじめに、現在の食品の効果を表示できる制度には、「栄養機能食品」と「特定保健用食品(トクホ)の2種類があることを説明。それぞれの制度の概要と、申請から審査、許可に至るまでの流れや、商品の表示方法として認められる表現などについて解説した。

■新しい機能性表示制度導入へ

 つぎに、今年1月に発足した政府の規制改革会議が、「栄養機能食品は対象成分が限られている」「トクホは費用や時間の面で中小企業・小規模事業者が参入しにくい」など、現制度の「問題点」を指摘していること紹介。規制改革会議やワーキンググループの構成員の属性などの説明も交えながら、同会議の具体的な答申内容とこれを受けて安倍首相が行った演説について説明をした。

■答申が「参考にする」とした、米国のダイエタリーサプリメント制度

 さらに、規制改革の内容の一例としてあげられた米国の機能性表示の制度について、根拠法の紹介や考え方を解説した。特に、開発者が有効性や安全性などを自己責任で確かめ、ほぼ自由に効果を表示できる「ダイエタリーサプリメント制度」については、答申が「参考にする」としていることから詳細に説明。同制度に基づいた商品が科学的根拠に乏しいとの批判が高まったことを受けて、FDA(食品医薬品局)が科学的評価の手法のガイドラインを定めたことなどにも触れた。

■科学的評価の困難さ 消費者庁のモデル事業の事例

 一方で、消費者庁が2011年度に行った、ブルーベリーエキスなど11成分に関する学術論文を評価する「機能性評価モデル事業」を紹介。論文数が少なかったり、開発企業が研究費用を提供し公平さに問題があったりと、消費者庁が「正確な評価をするには課題が数多くある」と結論づけたことを説明し、科学的評価の難しさについて指摘した。

■課題山積、制度設計のゆくえを注視

 今後の制度設計には、有効性の科学的根拠や安全性の確保、表現の規制方法、国の関与の程度、農林水産物が対象になるのか――など、数多くの検討課題があることを指摘。
 さらに、食品衛生法では事業者に対して、原材料の安全性の確保や自主検査の実施を求めていることに触れ、機能性表示だけを先行するのではなく、安全性や表示・広告の適正化、消費者の理解促進など、健康食品をとりまく課題を広く解決するべきではないかと結んだ。

感想:
 現在1兆7300億円の市場規模と推計されている健康食品。その機能性表示緩和の動きについて、大変わかりやすく、かつ幅広く解説していただいた。聴講者との質疑応答も非常に活発で、参加者がそれぞれの立場からこの動向を注視していることがよくわかった。
 機能性表示が緩和されれば、健康志向の高まりに合わせて多くの商品が市場に出回ることが予想される。安全性や科学的な効果の評価はもとより、必要な医療を軽視したり、医薬品との併用による相互作用を起こしたりすることのないように、啓発や広報も同時に進めていく必要があると感じた。
 今後の具体的な設計に向けては、消費者が混乱したり置いてきぼりになったりすることのないよう注視したい。