3月28日(木)~29日(金)に、農政ジャーナリストの会(JAJA)と農村開発企画委員会による、現地共同取材(現地調査)が実施された。食生活ジャーナリストの会(JFJ)会員にもご案内を頂き、3月29日(金)の行程に幹事2名(佐々木・木村)が参加した。

・日時:2013年3月28日(木)~29日(金)
・内容:3月28日(木) 東三河の施設園芸地帯の先端技術を取材
      サイエンスクリエイトのIGH(太陽光利用型植物工場)プロジェクト
      田原市の低炭素施設園芸づくり協議会(太陽光・省エネモデルハウス)
      豊橋市のイシグロ農材(施設園芸の先端技術)
    3月29 日(金) 大規模農場経営、農産物直売所、養豚の6次産業化を取材
      岡崎市の(有)小久井農場 (大規模稲作経営と大豆加工、野菜栽培)
      大府市のJAあぐりタウン・農産物直売所「げんきの郷」
      半田市の「有限会社石川養豚場(自社生産豚肉を利用した総菜の製造販売事業) 
・主催:農政ジャーナリストの会(JAJA)・農村開発企画委員会   

まとめ:木村滋子

●「健康な土から健康な作物が生まれる」― 大規模農場「小久井農場」

 (有)小久井農場は「おいしくて安全な米を作る」ため、オリジナルの堆肥作りに取り組むとともに、大型農機やラジコンヘリを使って作業を効率化することにより生産コスト削減にも挑戦、「質」と「量」の両面からこれからの農業の在り方を模索する大規模農場だ。同農場が管理する耕作地面積は340ヘクタールで、自社保有の農地のほか、農業を続けられない地主から借り受けて受託農業を展開する。主な作物は米、小麦、大豆。
 農場を訪れてまず、目に入ったのは、北海道酪農を凌駕する農機のスケール。農場主の小久井氏は、まさに、アメリカンドリームを叶えたファーマーのような出で立ちで、今後の夢を熱く語った。耕作放棄地や高齢化により作付ができなくなった農地に活力を与え、地域の活性化、農業や生命の大切さを伝える食育活動にも力を注ぐ。小久井農場で実践する環境保全型の農業は、お米や作物を「安全においしく」するだけでなく、人を育て、地域の環境や資産を守る本物の「環境保全型」農業としての評価も高い。
 4月には直売所がオープン。「一度食べたら忘れない味」の米や味噌を求めて、地元からだけでなく、遠方からも多くのファンが集まるに違いない。


  

●JAあぐりタウン・農産物直売所「げんきの郷」

 あいち知多農業協同組合(JAあいち知多)全額出資の(株)げんきの郷が運営する「JAあぐりタウンげんきの郷」は、「直売」「加工・食」「温泉」の3部門で構成する地産地消の発信基地。 
 直売のメイン施設のファーマーズマーケット「はなまる市」の店内は、買い物客で活気にあふれ、旬の山菜や春野菜、いちごや晩柑類(晩生の柑橘類)などは、すべて地元産。豚肉や加工品、惣菜なども充実した品揃えで、カートいっぱいに買い物していく客も多い。惣菜とパンの「出来たて館」、知多半島の海の幸と地元食材の屋台が並ぶ「げんき横丁」を通って、研修施設「あすなろ舎」へ。午後は、代表取締役社長岡部篤男氏より、げんきの郷が進める「アグリルネッサンス事業」について伺った。「食と農、環境と福祉、文化をテーマとした健康・安全の地域づくり」を企業理念とし、10年の準備期間を経て2000年12月に、直売所を中心に、できたてパンと惣菜の販売、ガーデニングショップ、温泉施設、芝生広場などを併設する複合施設としてスタート。昨年春には、小さな子供連れで楽しめるスイーツのフードコート「すくすくヶ丘」もオープン。家族連れで過ごせる豊かな空間を提供している。
 直売所の売り上げは20億円を超える。厳しい品質チェックと顧客のニーズに応える空間作りが、集客の吸引力となっている。

●「有限会社 石川養豚場」―ファーマーズマーケット「ブリオ」

 「安全でおいしい豚肉」を作るため、独自配合の純植物性飼料を与えて飼育。徹底した衛生管理と抗生物質の使用を極力控えた豚肉を「できるだけ安く、新鮮に、おいしく」提供できるようにと、2000年より、加工・直売まで手掛ける。初年度、次年度と赤字続きの中でも、「安全でおいしい豚肉」にこだわり続け、併設のバーベキューも始めた。その頃から、売り上げも右肩上がりとなり、今では3店舗の直売店と通販、大手量販店、飲食店などにも卸すようになり、「あいポーク」ブランドは地元ブランドとしての地位を確立した。元気・活気を意味する「ブリオ」の名にふさわしく、直売店の店内は元気と活気に満ちあふれていた。

 今回の取材では、愛知県産農畜産物の生産性や品質の高さは、恵まれた自然条件や社会条件の恩恵によるものだけでなく、6次産業化への取り組みや、地域住民や環境を大切にするパイオニアたちの、熱い想いにより裏打ちされていることが強く感じられた。