• テーマ:新型インフルエンザ対策&BSEリスク管理ステータスについて
  • 参加者:農林水産省:梅田勝氏(大臣官房審議官)、原田英男氏(消費・安全局動物衛生課長)、浅川京子氏(消費者情報官)、JFJ:11名(他、農林水産省記者クラブから若干名)
  • 平成21年5月27日(水)、14:00~15:30
  • 於:金融庁会議室(東京都千代田区)

まとめ:佐藤達夫

新型インフルエンザの基礎知識とその対策

インフルエンザは、体の一部(肺や気管など)に異常が現れる風邪とは異なり、全身に障害が及ぶ全身感染症である。その中で、長期間、ヒトの間で流行したことのないタイプのインフルエンザを新型といっている。新型インフルエンザは10年~40年の周期で世界的に大流行している。

インフルエンザウイルスは、攻撃する対象が限定されているのが普通で、トリのインフルエンザがヒトに感染する可能性はきわめて低い。また、インフルエンザウイルスは、対象によって毒性がかなり違うこともわかっている。たとえば、トリに対しては強い毒性を持っているウイルスでも、ブタに対しては(仮に感染しても)弱い毒性しか示さないことも充分にあり得る。

ただし、トリとブタの間では相互に感染することが確認されているし、ブタとヒトの間でも感染することが確認されている。

今回のインフルエンザは、トリ由来のもので、ブタの体内で“ヒトにも感染するタイプ”に変化したようだ。いま問題になっている「A型」のインフルエンザは、ブタを介してはいるが、すべてトリ由来であることがわかっている。

不都合なことに、このトリ由来のインフルエンザは、ブタに対してはそれほど悪さをしない。ブタの体調が悪くならなかったために、油断をしていた(?)ヒトに感染してしまったようだ。ちなみに、ブタにとってインフルエンザはけっして珍しい病気ではなく、よく感染するのだが、症状は軽く、回復も早いのだという。

インフルエンザウイルスは、生物の細胞内に侵入する経路(H系)と細胞から出ていく経路(N系)によって、たくさんのタイプに分類されている(H1N1とかH5N1とか)。トリに由来するA型の中では、H1系のウイルスはヒトに対しては強い毒性を持ってはいない。これに対して、H5系あるいはH7系のウイルスはヒトに対して強毒性を持っている。

今回の新型インフルエンザウイルスはH1N1型であることがわかっているので、感染者数はかなり多くなることがあっても、感染者が重大な被害を被る可能性は低いだろうと考えられている。

しかし、それは健康な人の場合であって、高齢者や乳幼児やすでに疾病を持っている人(たとえば糖尿病患者等)は、重症になることもあるので、厳重な注意が必要である。

以上は「生物としてのブタ」の話である。では、食品としての豚肉との関連はどうなのか。

ウイルスは生物ではないのでそれ単独では生存したり増殖したりすることはできない。他の生物の細胞内に進入することによってはじめて活動することができるし、増殖もする。

そのため感染経路は飛沫感染がもっとも多い。飛沫感染というのは、感染者がせきやくしゃみをすることによって、感染者の細胞といっしょにウイルスが他者へと移っていく感染形態だ。

ブタのくしゃみがヒトにかかれば、ブタからヒトに感染することはあるが、料理として豚肉を食べることによって豚肉の中のウイルスがそれを食べたヒトに感染することは、まず考えられない。豚肉は生物ではないので、豚肉の中でウイルスは長時間は生きられない。ましてや加熱調理をすれば簡単にウイルスは死滅する。

たとえば、感染者のせきが料理にかかり、料理の中でウイルスが増殖して、その料理を食べた人が感染するということもあり得ない。この点が、料理を栄養源にして料理の中でドンドン増殖する食中毒菌との決定的な違いである。豚肉は安心して食べても大丈夫であり、今回は、豚肉パニックが起こらなくて幸いであった。

今後は、新型インフルエンザに対しては冷静に対応してほしい。農林水産省としては、ブタがどの程度の率あるいは症状でインフルエンザにかかっているかどうかを、きちんと調査していきたい。

OIEによる日本のBSEリスクステータス変更について

本日(5月27日)、OIE(国際獣疫事務局)は、BSEのステータス評価を行ない、日本とコロンビアの2カ国を「不明のリスクの国」から「管理されたリスクの国」へと引き上げた。これによって、BSEが「無視できるリスクの国」が11カ国となり「管理されたリスクの国」が32カ国になった。

今回のステータス変更で日本の牛肉の安全性に変化はないのだが(日本の牛肉は、今回のステータス変更以前から安全だったので)、外国に輸出する際に、ウシの月齢制限がなくなったことになる。

(注:これに関しては、タイムリーであったので、急遽、懇談会のテーマとして取り上げたが、充分に議論・懇談する時間がなかった。再度、テーマとして取り上げてもよいのではないか)

今回の「懇談会」について、後日、幹事会で話し合い、以下のような結論に至ったことをご報告する。

  • 今回はスタートがJFJの幹事交代時期と重なったため、テーマ等を農林水産省サイドに一任した。そのため、必ずしも、こちらが最も望んでいるテーマとはならなかったことが残念。
  • 懇談会とはいいながら、結果的には「農林水産省の記者発表会」という形式であった。せっかくの機会なので、発表の時間をもう少し短くし、当方との Q&Aの時間を長くする等、実質的な「懇談」になるようにしたい。
  • 農林水産省サイドの出席者も、こちらの質問に対してきちんと答えられるような人材を用意してもらいたい。
  • 今後の懇談会に際しては、このような要望をきちんと農林水産省の担当者に伝える。