2008年11月10日 2008年度第5回勉強会 

「どうなる 日本の漁業」の報告

JFJ平成20年度第5回勉強会報告

  • テーマ:どうなる 日本の漁業
  • 講師:東京海洋大学海洋科学部 海洋政策文化学科 婁 小波(ろう しょうは)教授
  • 平成20年11月10日、18:30~20:00
  • 於:東京ウィメンズプラザ会議室
  • 参加者:○○名

まとめ:渡辺百合

海業(うみぎょう)推進が漁業者の活路になる

7月15日、全国各地で漁師さんが一斉休業。燃料高騰のため出漁しても赤字になる事態に対する抗議のストライキで、市場への入荷がストップした。前回のJFJ勉強会「築地市場見学会」でも、消費者の魚離れが指摘され、一方、世界では食料としての魚の需要が高まり、乱獲による水産資源の枯渇も問題に。まさに日本の漁業は四面楚歌。海洋資源の管理、海洋政策の第一人者、婁小波教授に、日本の漁業の先行きと漁業問題解決への道を伺った。

そもそも日本の漁業をみると、消費者は魚が高いと思っていて、生産者は魚価が安すぎて生活できないという。このずれの原因はどこにあるのか。

婁教授は数多くの実証的研究をまとめられた大部の資料をもとに、説明された。まず、日本漁業の問題点として三重苦を指摘。①漁獲量の低下―種々の原因による資源の枯渇 ②魚価の低迷―漁獲量が減っても価格が上がらない!③コストの上昇―燃料高騰。

漁業の場合、需要と供給の原理に基づいて価格が決まるのではなく、魚が少なくても値段が上がらない、燃費の高騰を価格に反映できないのはなぜか? 複雑な流通機構、あるいは大手量販店により、生産者が価格決定に関与できず、買い手に価格決定権があるというシステムに構造的問題があると説く。

そこで、日本の漁業が伝統的に培ってきた「沿岸漁業」の方式―自主管理組織による資源管理や運営―に着目。ここに「海業」というシステムが登場する。海業とは、もともとある海や漁港という資源を利用して、さまざまな海洋レジャーやレストランなどの観光業を組み合わせた地域活性化の総合的な活動をいう。沿岸漁業者の管理組織が「漁業、水産業+海業」を推進していくことで、地域の自給力の確保―漁業を行う地域が所得を確保し、暮らせるようにする、という提唱で講演は締めくくられた。それが食料安全保障、持続的漁業へのアプローチということになる。

ついていくのが難しいほど、ぎっしり内容の詰まった1時間だった。生魚のさば、あじ、いわし、さんまを食べれば食料自給率はアップするという話もあったが、やはりそれだけでは満足できない身としては、漁業者に元気でいてほしいとの思いは強い。海のレジャー施設に遊び、現地の海産物を食べて、土産を買って帰るのも、漁業を支える一環となるのかもしれないという、少々おいしい感想を抱いた。

最後に、ノルウェーの漁業方式と日本の方式の比較、石川県のある漁業組合と量販店との全量買い上げシステムによるビジネスモデル、卸と仲買い方式の流通システム改善の難しさなどについての質疑応答が行われ、勉強会は終了した。