2021年1月25日 2020年度西日本支部第1回勉強会の報告

イタリアの食文化に触れるオンライン学習

「食科学とイタリア食文化のリアリティについて」今年のコロナ対策の中で行われた石田ゼミの試み

・演 題:コロナ禍とリモート食教育
・講 師:石田雅芳 氏(立命館大学 食マネジメント学部教授)
・進 行:小山伸二
・参加者:オンライン開催38名
・文 責:小山伸二

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西日本支部の第1回目の勉強会は、全国11都府県に緊急事態宣言が出される中、完全リモート形式で実施されました。

講師の石田氏から、コロナ禍でのリモートによる食教育の実践について、大学でのオンライン授業のような雰囲気そのままに、お話しいただきました。

石田氏は、イタリアのスローフード協会本部のスタッフとして現地で活動した経歴を持ち、食の美味しさ、環境持続可能性、そして食をめぐる倫理などをベースにした新しい食教育の可能性を追求する現場を体験されてきた。帰国後、2018年4月に新設された立命館大学・食マネジメント学部の教授に就任。

スローフード協会が中心となって創設された食の大学(イタリア食科学大学)は、食に関する「諸科学」(Gastronomic Sciences)を標榜して、 理系・文系を超えた学際的研究・教育環境の場を創出した。同様に、立命館大学の食マネジメント学部でも、様々な分野の諸科学(文系も含めた)の統合を目指している、と言う。

石田氏は、「食教育」において、アカデミズムと伝統的な知識との対話が必要であると考え、ヴェネツィアのジュデッカ島より漁師さんを招聘して大学の教壇に立ってもらうなどの試みもされてきた。

コロナ禍の影響で、昨年4月からオンライン授業を余儀なくされたが、オンラインであるメリットを使って、海外のゲストにネット上で登場してもらう授業を展開された。ゲストは、イタリアのワインやチーズ、畜産などの生産者、食分野の研究者、料理人、ジャーナリストなど、多彩な分野の実践家、専門家たち。時差7時間(あるいは8時間)ある現地から登場する羊飼い、カラスミの生産者、チーズ生産者、シェフなど、魅力的な方々ばかり。それぞれに、背景があり、物語がある。こうした方々がバーチャルな「教室」の中に登場される授業は、きっと、受講した学生たちにとっても、ワクワクする体験になったに違いない。JFJでの勉強会では、実際のゲストは登場しないものの、そんな授業の雰囲気は、石田氏のお話から十分に伝わってきた。

石田氏は、大学でのオンライン授業用に、わざわざ自宅の地下室をスタジオ風に改装し、まるでラジオ放送のスタジオのように「ON AIR」のサインボードを購入したりする一方で、IT機器に頼るオンライン授業の中にも、アナログの温もりをということで、黒板を用意し、板書もされるとのこと。食の持っている「リアル」を伝える上で、オンラインで、こうした工夫も学生たちにきっと何かを感じ取ってもらっているはずだ。

また、イタリアの食文化研究の権威であり、イタリア食科学大学の初代学長のアルベルト・カパッティ教授をゲストに招いたバーチャル研究会の実施や、オンラインを使った小学生への食育の取り組みなど、アフター・コロナの教育・研究の新しいスタイルとしての可能性も、お聞きすることができた。

JFJの勉強会自体も、オンラインによって、首都圏の方だけではなく、より広範囲の方々にも参加いただけるようになり、申込者限定の動画配信など、これまでにはない試みにも着手しているが、オンラインを使ったコミュニケーションについても、学びをたくさんいただけた勉強会になった。

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<イタリアの食文化に触れるオンライン学習「食科学とイタリア食文化のリアリティについて」
今年のコロナ対策の中で行われた石田ゼミの試み:講演資料(PDF)>