2020年10月29日 2020年度 第5回勉強会の報告

『藻』は持続可能な社会をつくるパートナーになれるか

・演 題:『藻』は持続可能な社会をつくるパートナーになれるか
・講 師:出口悠(でぐちゆう)・「ちとせグループ」コミュニケーションデザイナー
・進 行:小島正美
・会 場:日比谷図書文化館4Fスタジオプラス小ホール・オンライン会議(ZOOM)同時開催
・参加者:37名
・文 責:小島正美

 藻類には昆布やワカメのような「大型藻類」と肉眼では見えない「微細藻類」がありますが、地球上に多いのは微細藻類で、約3万5千種類も存在するといわれています。私たちの文明に大きな恩恵をもたらしている化石燃料は、藻類が長い進化の過程でできたバイオマス資源の蓄積が形を変えたものです。太陽エネルギーを利用して、光合成を行う藻類は、私たち人類に植物性タンパク質や油脂(石油のようなオイルや健康食品になる油など)をつくってくれます。たとえば、藻類のひとつのスピルリナは牛のような家畜や植物の大豆などよりもはるかに効率よくタンパク質を作ります。つまり、スピルリナからタンパク質を摂取すれば、地球の土地や森林、水資源の節約になるのです。石油に匹敵するオイルをつくる藻類もあり、化粧品の成分やプラスチックの原料に利用できる藻類もいます。将来的には藻類農業という新たな農業が誕生する可能性も大いにあります。  出口さんの所属する「ちとせグループ」(約150人・8割は理系出身)は様々な事業・研究開発を行うベンチャー企業の集まりです。同グループでは現在、他の研究機関や企業と連携しながら、汎用タンパク質の世界への普及を目指し、国内外で藻類の大規模培養プロジェクトに取り組んでいます。出口さんは化石燃料に頼らず、太陽エネルギーを基点とする循環社会への転換を目指す大きな夢を語りました。オンライン参加者からの質問も多く、藻類への関心を高める有意義なセミナーとなりました。